運動会で「そうめん」を食べる人たちの事情 アレンジも自在!知られざるそうめんの魅力

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栄養をしっかりとりたい場合のバリエーションも聞いた。ご飯を入れる弁当のおかずと同じようにおかずを入れるほか、酢を利かせた巻きずし、天むす、とり天、大葉・ミョウガ・ネギ・ショウガ・カイワレを混ぜた五目薬味を添える、豚ミンチ肉やゴマペーストを使ったタンタンメン風にするなど、組み合わせはいろいろある。涼しい季節なら、温かいつゆにネギと鶏肉などを細かく刻んでごま油で炒めたものを入れておく「こくみ汁」にするなど具だくさんにしておく方法もあるという。

作る側にとってのそうめん弁当の魅力は、4つある。1つは、ご飯に比べて圧倒的に調理時間が短いこと。また、ご飯のように弁当箱に入れてから冷ましておく必要がない。2つ目は、ほかの麺と異なり、あらかじめ油を加えてくっつかないようにするなどの下処理が必要ないこと。くっついた状態になっても、つゆに入れればすぐほぐれるからだ。つまり、時短料理としての魅力が大きいのだ。

3つ目は、前述のとおり、組み合わせるトッピング、具材などのバリエーションが豊富なこと。4つ目は、使用時間を気にせず保冷剤をたくさん載せられること。ご飯だと保冷剤が足りないと腐る心配がある一方で、入れすぎると冷蔵庫で冷やしたみたいになってまずくなる。しかし、そうめん弁当ならいくら冷たくてもまずくなる心配がない。

食べる側にとっては、夏場などで食欲がないときにも食べやすいことが最大のメリットだ。そうめん弁当の人気が急上昇している背景には、気象変動により、運動会が暑い時期と重なることが多くなったことがあると考えられる。また、カップに入っているそうめんは手を汚さずに食べられ、持ち運びやすいというメリットもある。

そこへ、SNSなどでの情報交換が活発になり、インターネット経由でレシピを入手しやすくなったことや、カラフルなカップに入れられたそうめん弁当がインスタなどで拡散されたことが重なり、人気に拍車がかかったと言えるだろう。

ラーメン風やビビンバ風などアレンジ豊富

MAYA氏一家は麺好き。普段は週1回、夏場は週2~3回も麺料理が食卓に上る。夏のイメージが強いそうめんも年中使うという。冬はにゅうめん(温麺)にして朝食の吸い物に入れる。給料日前でコメが足りなくなりそうなときに、そうめん弁当にすることも多いという。日常的に食べているから、単にそうめんをゆでて薬味を添える以外の発想が豊かなのだ。

「うちでよく食べるのは、ぶっかけで錦糸卵をかける、カニかまぼことキュウリ、シソとミョウガとキュウリとオクラを細く切って温泉卵を載せる。蒸し鶏、きのこを煮たものをつけ汁に入れておくなどします。肉みそ、メンマを入れてラーメン風、ビビンバ風とか混ぜそばのそうめん版みたいなやり方もあり、アレンジ豊富なので飽きないです」と、そうめんの魅力について語りだしたら止まらないMAYA氏。

MAYA氏のそうめん弁当の原点は中学時代にあった。学校が遠かったこともあり、母親に送ってもらう車の中で母親が用意してくれた朝食をとっていた。「私が麺好きだったので、焼きそばやナポリタンとかドーンとタッパーに入っている。そうめんと麺つゆも車の中に持ち込んで食べていました。昼食用の弁当はナポリタンぐらいですが、朝にすぐ食べるものとして麺弁当は普通でした。私にとって、ゆでて少し時間が経った柔らかいそうめん弁当は、懐かしい味です」と振り返る。

さっとゆでて、簡単に作れるそうめん弁当。シンプルに薬味を添えるだけでも、さまざまなおかずを一緒に食べるのでも、混ぜそばにするのでも、温かいつゆでにゅうめんにするのでもいい。今度の運動会に、作ってみてはいかがだろうか。

阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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