関空、露見した「国際空港」としての巨大欠点 今でも情報発信は最悪の状態のまま

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関空は5日の時点で、「6日中の再開はなし」とだけ発表。「閉鎖となる期間」について、タイムラインをしっかり示していなかった。

「明日はダメだけど、明後日どうなるか説明してくれないから、一応飛ばす準備はしなきゃいけない。しかも状況がわかってない日本人顧客が次から次へとやって来るし……」(ヒースロー空港のカウンター職員)

その後、航空各社は9月11日ごろまでの関空便をとりあえず欠航とする方向で態度を固め、行き先を振り替えた上で「とにかく日本のどこかへ顧客を送る」という現実的な対応を開始した。

航空会社によって代替便提示へのケアがおざなりだったり、振替便の席が取れずやむなく現地滞在を延ばしたり、日本国内の全く違う空港へ飛ぶことになった旅客もいたようだが、何らかの形で日本にたどり着けたようだ。各航空会社は、手数料無料での払い戻しやルート変更などに応じており、顧客の便宜を図っている。

関空滞留の中国人、領事館のサポートで脱出

高潮による浸水に加え、タンカーの衝突で橋が破損したことで、空港施設内には一時8000人もの人々が滞留していた。

シャトルバスや神戸空港への高速船を使った懸命の救助活動で、ほぼ全員が5日夜遅くには空港島から脱出できた(ちなみに25人ほどの訪日客が「行くところがない」という事情でターミナル内に残ったという)。

果たして、関空の職員らは言葉が通じない訪日客にどのようなケアを行ったのかを調べるため、筆者はアジア各国の人々によるSNS上の書き込みをあちこちチェックしたが、その中から意外な事実を見つけた。

駐大阪中国領事館のホームページ

駐大阪中国領事館が空港に残る自国民のために「救出作戦を行った」という報告が書かれていたのだ。あれこれ調べたところ、同領事館は関空サイドと水面下で交渉を進める一方、大型バスをかき集め、4日の夜から未明にかけて対岸でスタンバイ、翌朝(5日)の救出開始を目指した、という。

遅れがあったものの、11時半ごろには最初の一団を乗せることができ、同日深夜までに計1044人の「同胞」を救うことができた、としている。なお、このバスの利用者の大多数は中華人民共和国籍だったが、中には香港、マカオ、そして「台湾パスポート」の人々が若干ながら混ざっていたという。

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