ちなみに中長距離便の多くは現在、中部国際空港(セントレア)を代替発着地として飛んでいる。例えば、デルタ航空のホノルル便は、もともと関空発着だった旅客の予約をそっくりそのまま中部便に振り替えたし、関空とフランクフルトを結ぶルフトハンザは中部便の増便および機材の大型化を図って輸送力の確保に努めている。
ユニークなところでは、本来関空に発着するLCC・エアアジアXのホノルル便が現在、中部を拠点に飛んでおり、ややもすると「東海圏からのハワイ行きがふだんより安く行けるチャンス」という状況が生まれている。
外国語による情報発信に依然問題も
関空の発着便は以下のような流れで徐々に増えている。以下はKAPが発表した旅客便のリストを元にまとめたものだ。
このように、台風被害後3日間で最初のフライトを飛ばしたことは評価できるが、KAPは各種の情報発信は依然として不得手なようだ。
例えば、その日の就航予定が空港の案内ウェブサイトで告知されているが、トップバナーの表示からpdfフォーマットのお知らせをダウンロードするだけ、という仕組みだ。非常時なのでサイト運営者の手が普段のようにかけられないという事情があるにせよ、仮にも国際空港の顔となるサイトなのだから「もう少しなんとかならないのか」という気がしてならない。
さらに困ったことに、外国語による案内の中身は日本語ページの情報量と比べて著しく薄い。日本語版には関空をその日に出入りする予定の便とその時刻がエクセルのフォーマットですべて記載されている一方、外国語版はT2への乗り入れが想定される各社サイトへのURLが表記されているに過ぎない。
しかも韓国語版については、英語のものがそのまま貼り付けられている。「情報が欲しくて困っている旅客」が多いいまの状況でこそ、より具体的で細やかな情報発信が求められると考えるが、逆にスカスカな情報を公表するにとどまる現状を見ると、果たして「再開後にインバウンド客を盛り返す気が本当にあるのかな?」と疑いの目を向けずにはいられない。
想定外の大きな被害を受けた関空だが、関係者の努力で再開に向け着実に前へと進んでいることは間違いない。しばらくはインバウンド需要の収縮や関空行き旅客の他空港への振替による混乱は続くことはやむを得ないだろうが、改装や修理が手抜きや無理な突貫工事がないよう確実な形で進められることを望みたい。
筆者も、ヒースロー空港の空港職員らと「KIX行きの荷物をようやく流せるようになったね」とおしゃべりできる日が一日も早くやって来ることを期待している。
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