関空、露見した「国際空港」としての巨大欠点

今でも情報発信は最悪の状態のまま

石井啓一国土交通相は9月7日、関空の復旧計画を発表した中で「空港アクセス鉄道は4週間以内に復旧」と目標を述べたが、現状としてタンカーがぶつかった道路部分の橋桁は線路側へと張り出しており、一見して大きなダメージを受けたことは明らかだ。

空港へのシャトルバス車内から見た空港橋のタンカー衝突部分。橋桁が線路に張り出し、道路標識が大きく傾いている(写真:traicy後藤卓也氏)

さらにややこしい問題が一つ残されている。連絡橋はKAPでなく、国の資産となっており、改装作業の進捗についても「国にお任せ」というのが現状だ。関西経済をけん引する大きなムーブメントと言えるインバウンド客の維持に加え、大阪万博の誘致成功も目指すさなかにあって、関空の復活成功のカギを握る連絡橋の再開に向けての工事は「国としての最優先事項」として進められることになるのだろうか。

ムノント共同CEOは当面の交通アクセスについて、T1の暫定運用開始時に空港まで鉄道が使えないことを念頭に「シャトルバスとリムジンバスなど道路を使った輸送の最適化について検討したい」との考えを述べている。

伊丹と神戸への便数振り分けはあるのか?

関西圏には関空のほか、国内線専用の伊丹空港と神戸空港の計3空港が運用されている。現在、3空港が民営化されておりいずれもKAPの傘下となっている。「同じ会社が運営しているのなら、関空で飛べない分を他に振り分ければいいじゃないか?」という論議が盛んに行われており、これを受け、KAP側も関空の全面再開までの暫定措置という見地で「運航可能便数」について具体的な試算を行った。

その便数は、すでに各種メディアで報じられているように、「2空港で1日当たり70便(離発着それぞれを1便と数える)が可能」というもので、内訳は伊丹に40便、神戸に30便だとしている。KAPはこの試算について「国内・国際線や機体の大小(席数)を問わず、ざっくりとした目安」と説明。しかし、いずれの空港がある自治体も運用時間の延長に難色を示していること、さらに国際線の運航には税関、出入国管理、検疫(CIQ)といった空港内設備の改装も必要となり、「2空港への振り分け」を実行に移すまでのハードルは依然として高い。

これについてKAPのムノント共同CEOは「T1の再開状況のスピードを見極めながら進めたい」とした上で「就航地などの最適化に努める」と述べており、2空港への振り分けの是非については依然として慎重であることを伺わせる。ただ一方で、神戸空港を運航拠点(ハブ)とするスカイマークの佐山展生会長はかねて神戸の国際化に意欲を見せており、今回の関空便の振り分けを機に、一気に国際空港としての整備を行う可能性もあろう。

とりあえず9月14日ごろには、T1のいずれかの部分を使って部分的な再開にこぎ着けることを目下の目標としている。関空は近隣諸国のインバウンド需要が大きいとはいえ、国際空港である以上、やはり花形である欧米との長距離便が一日も早く飛んでほしい、というのが関係者の願いでもある。

しかし長距離便は、乗組員のやりくりや機内食の準備、貨物の装填など運用面において短距離便とは比べ物にならないほど広範な準備が必要となる。そんな事情から、ムノント共同CEOは「欧米便を関空へ再乗り入れさせるのは、やはり後回しになると考えざるを得ない」との現実的な見方を述べている。

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