「彼氏にしてもいいかな、と思ってとりあえず予備軍リストに入れました」
強気の発言である。でも、「私はバツイチだから」と委縮するよりははるかにいい。自信を持っていたほうが他人にも魅力的に映るからだ。実際、慎吾さんは由香里さんに引き寄せられて、「誘えば愛犬のように尻尾を振ってやってくる」状態になった。
「そんな状態が1年も続きました。遊んだ後は家まで送ってくれるのに、何もせずに朗らかに手を振って帰っていくんです。いったい何がしたいのでしょうか。毎回私が誘うのも面倒臭いので、半年ほど距離を置いた時期もありました」
その半年間、由香里さんは別の男性に恋をしていた。それが失恋に終わり、「もう彼氏はできないのかな」と自信をなくしかけていたときに慎吾さんを思い出した。
「半年ぶりなのに呼べばすぐにやってくるんです。でも、やっぱり何もしない。イラッとして夜中に連絡しました。『何がしたいの? 家に来ないの?』と」
深夜1時に慎吾さんはタクシーで由香里さん宅に駆けつけた。ようやく2人は結ばれたのだ。出会ってから3年が経過していた。
「愛を試してはいけない」と悟った
昨年の初めに結婚した慎吾さんと由香里さん。約1年半の共同生活で由香里さんの気持ちは少しずつ変わっていった。
「結婚当初は彼によくけんかをふっかけていました。『かわいい』とか『好き』とか安易に口にするけれど本当かよ!といった内容です(笑)。でも、あるときに私がワーッと言いすぎて彼が『ごめんなさい』と言いながら泣きそうになったんです。それでようやく気づきました。大事な彼に悲しい思いをさせるような内容ではない、と」
母親の愛情を感じられずに育ち、最初の結婚にも失敗してしまった由香里さんは、慎吾さんの気持ちを確かめたかったのかもしれない。しかし、口げんかの末に悟ったのだ。愛を試してはいけない、と。
「結婚前に慎吾さんの実家に遊びに行ってびっくりしました。サザエさんの家よりも朗らかな家族なんです。悪意というものがまったくありません。こんな家族が実在するとは思いませんでした。私の変わった母親すらも感動して、慎吾さんの株が急上昇したほどです」
自分たちだけではなく、親兄弟も喜んでくれるような結婚ならば最高である。理想的な晩婚さんだと取材を終えようとしたら、酒に酔った由香里さんが慎吾さんに絡み始めた。
「子どもは欲しいと言っているくせに、何もしないよね。私は(出産)リミットが近いのに、あなたは目の前のことしか考えてない!」
由香里さん、夫婦げんかは帰宅してからにしてほしい。酒はほどほどにして、今夜は2人で早めに仲良く寝たらどうだろうか。末永くお幸せに。おやすみなさい。
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