第一印象は「中2病」…ある仲良し夫婦の会話 「愛を試す妻」と「永遠の愛を信じる夫」

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それでも由香里さんは努力をし続けたが、何事もスピーディな恵一さんは半年後には「離婚したい!」と言い出す。由香里さんは訳がわからずに歩み寄りを提案したが、恵一さんは聞く耳を持たない。仕方なく恵一さんの両親に「私は別れたくない。改善すべきところは改善したい」と相談。

「ご両親からの答えは『恵一がそう希望しているのだから離婚を考えてくれない?』という冷たいものでした」

この対応は由香里さんのややエキセントリックな母親にも伝わり、両家の関係は修復不可能となった。離婚したとき由香里さんは31歳だった。

「それでも結婚生活は楽しかったです。他人と寄り添って暮らすことはいいことですよね。相手を間違えたので失敗しちゃったけれど、10年後でも20年後でもいいので再婚したいと思いました」

筆者も離婚経験者なので由香里さんの「反省はするけれど自己否定しすぎない」姿勢はすばらしいと思う。たった一度の失敗で「自分は結婚に向いていない」などと決めつけると人生の幅を狭めてしまいかねない。手痛い失敗を繰り返さないように気をつければ、次のチャレンジはうまくいく可能性が高いのだ。

離婚後は「細く長く自分を食べさせていくため」に独立し、専門分野でのフリーライターの道を歩み始めた由香里さん。忙しく働く合間に、さまざまなパーティや飲み会に顔を出し、「モテ期」を体験したようだ。

離婚経験を生かして男性の好みは変化していた。以前は恵一さんのようなワガママで華やかな人に惹かれやすかったが、一緒にいると自分が疲弊してしまう。対等に付き合える穏やかな男性が欲しいと思った。

「対象外」として切り捨てなかった

4年前、飲み仲間の紹介で知り合ったのが慎吾さんである。フワッとした雰囲気なのに持論をやたらに展開する彼を「(恋人候補としては)ない!と思った」と由香里さんは笑いながら振り返る。

「私が好きな建築士をしているし、オシャレだし、顔もセーフです。それなのに、話にイライラしました。口癖は『要は~』です。自分でまとめて自分で納得しているんです。中二病っぽい。すごく苦手なタイプだと思いました」

かなり厳しい評価だが、由香里さんは婚活をしていたわけではないので、中二病の慎吾さんを「対象外」として切り捨てる必要はなかった。そのうちに飲み仲間を通じて顔を合わせる機会が増え、主にサブカルチャーの方面で趣味が合うことがわかる。慣れると慎吾さんの口癖も気にならなくなった。

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