「雑談ネタ」を新聞TVで集めるのが不毛なワケ それより文章力や話し方、鉄板ネタを磨こう

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雑談を料理に例えると、「ネタ」は食材、「話し方」は調理法です。手持ちのネタで上手に話すことが腕の見せどころ。料理上手な人は決して「食材がふんだんにそろっていないと、おいしいものは作れない」とか「高級食材じゃないとおいしくならない」とは言わず、冷蔵庫の残り食材でもおいしい料理に仕上げます。

もちろん、食材(ネタ)が良ければ料理(話)もそこまでまずくはなりません。でも、その人に料理の技術が身に付いていなかったら、どんな食材を手に入れてもおいしくするには限界があります。

そこで雑談を上達させるのに必要なのが、まず「発信力」を磨くこと。特にお勧めしているのは、文章を書くことです。めんどうに思えるかもしれませんが、ツイッターやブログに短い文章を書くだけで構いません。

文章を書くことで会話の基礎となる言語力も鍛えられますし、時間をかけて文脈や表現をブラッシュアップできます。実は、文章能力がないのに話すのが上手という人はあまりいません。

確かにすぐに効果が出る方法ではありませんが、雑談力を底上げしてくれる確かな方法です。

爆笑話よりもクスッと笑える話

新聞の時事ネタやテレビのネタは、先ほどもお話ししたように消費期限が短く、使える相手も限られます。

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しかし普段の生活でクスッと笑ったエピソードや、ふと気になった街の光景があればぜひストックしてみてください。スマホに単語をいくつかメモしておくだけで十分なので時間もかかりません。

こうした印象に残ったエピソードは、雑談でかなり使えるネタになります。相手も意外と選びませんし、時間が経っても「昔こんなことがあって……」と話すことが可能です。

私は飲み会のときにはエピソードを3つ候補に挙げておき、話が一区切りつく場面でよく使っています。

定番ですが「日常の失敗談」は誰も傷つけることなく、ユーモアを盛り込めるのでお勧めです。あくまでも「コンタクトが片方外れた」程度で十分で、爆笑を狙う必要はありません。この見つけ方を知っておくと、仕事にも有効です。

川島 達史 コミュニケーション講師、精神保健福祉士

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かわしま たつし / Tatsushi Kawashima

これまで10~70代の3000人以上に雑談スキルを指導。大学院では雑談の研究を行い、会話トレーニングを開発した。自身も対人恐怖症に苦しめられ引きこもりを経験。家族にすら顔を合わせられない状況から抜け出すために、会話術を勉強しては部屋のポスターに向かって各3000回ほど練習。症状が良くなったものもあれば悪化したものもあり、会話術には間違ったやり方や取り入れるコツがあることを体感。社会復帰後は一般企業で働いたのち「ダイレクトコミュニケーション」を設立。自身の体験と生徒の反応、検証データを大事にしながら首都圏と関西圏で講座を開催している。「ダイレクトコミュニケーション」公式サイト https://www.direct-commu.com/

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