上海「シェア自転車」ブームはもう去っていた あれほどはやっていたモバイクはどこへ?

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最近、よく「ユニコーン企業を探せ」なんてことが言われる。ユニコーンとは事業開始から10年以内で、企業価値が10億ドル以上の企業を指す。そんな急成長の会社が全世界には200社ほどあり、うち半分がアメリカにあり、4分の1が中国にあるのだそうだ。そしてわが日本にはメルカリ1社しかない。

だから最近の日本経済は活力が乏しい、などと言われている。しかしそのことをベンチャー精神の欠如のせいにするのは、いささか見当違いではないかと思うのである。

昨年のシェアリング自転車のブームはすでに失せているようだ(筆者撮影)

このモバイクだって、立派なユニコーン企業のひとつであろう。この手の会社にどんどん資金を投入し、冒険をさせたうえで失敗も許す、という周囲の理解がないと若い企業は育たない。しかしモバイクのような社会実験を、その結果として生じるスクラップ・アンド・ビルトを、果たして日本の風土が許してくれるだろうか。交通規制から投資環境まで、あまりにも障壁が多過ぎるんじゃないだろうか。

ゆえに、日本のシェアリングエコノミーは「官主導」となってしまう。でも、地方自治体がやっているレンタル自転車って、あんまりカッコよくないんだよね…。ともあれ、「求む!ユニコーン企業!」なんていう最近の議論は、ほとんどが「ないものねだり」ではないかと考えるものである。

リーマンショックという危機が生み出したチャンス

さて、上海へ来て何を考えているかといえば、「リーマンショックから10年」ということである。

あの国際金融危機の始まりは2008年9月15日。間もなく10周年となる。当時、世界第4位だったリーマンブラザーズ証券会社が突如として経営破綻し、それを契機に世界に危機の連鎖が始まった。それから10年、世界経済はようやくまともに動いているように見えるが、金融政策を見ればまだ「非常時」が続いているようでもある。

よく言われることだが、「危機」(Crisis)という言葉は「険」(Risk)と「会」(Opportunity)という2つの文字に分解することができる。危機は一概に悪いことばかりをもたらすものではない。既存の秩序が破壊された後は、新しい勢力が伸びる環境が整う。危機には世の中の変化を速くする効果もある。

例えば現在のニューヨーク株式市場において、株式時価総額が大きい企業といえば、①アップルがとにかくダントツで、以下、②アマゾン、③アルファベット(グーグル)、④マイクロソフト、⑤フェイスブックといった、いわゆる「GAFA」企業がずらりと並ぶ。ちなみに日本企業で最大は、トヨタ自動車の35位まで待たねばならない。

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