司法試験に受かった後に迷っています 【キャリア相談 Vol. 22】

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規制当局者とのネットワークは貴重

先日、筆者の卒業した米国ロースクールの学長や関係者が来日している際に話をしましたが、米国ロースクールでは卒業後の就職率はたとえトップスクールでも厳しいものがあり、学生の人数を絞って質を上げ、法律事務所以外の政府系のキャリアなども考えてもらうようにしていると言っていました。法律バックグラウンドのプロフェッショナルはリボルビングドアには適していると思うので、世の中のためになるのなら雇用の流動性が高まればよいと思います。

質問者の方は資格というリスクヘッジもあるのですから、「世論からの公務員バッシング」など気にせず、国益のために志を持って頑張ってほしいと思います。法曹が経済・金融に対してデザインできることはまだまだあります。

たとえばニューヨークでのヘッジファンドカンファレンスにはHFT(高頻度売買)やAI(人口知能)系ヘッジファンドに混ざって、香港やシンガポールの規制当局者(Regulators)が来ています。その人たちによれば「最先端の動向をいつもウォッチしている」とのことです。これから国際的租税回避の問題もますます大きくなってくることでしょうし、青山のパンケーキよりも霞ヶ関のダッチサンドイッチが課題です。海外当局と円滑にコミュニケーションするためには英語力も不可欠ですし、こうした人材は不足していますので、質問者の方は留学も考えつつ英語もコツコツ勉強すべきでしょう。海外の規制当局者とネットワークができれば非常に貴重な財産となります。

ぜひ、質問者の方は長期的な視野とエリートの矜持を持って、最初のキャリアを選択していただければと思います。

筆者の最新刊『20代のための「キャリア」と「仕事」入門』は、11月15日発売です。

※ 塩野さんへのキャリア相談はこちら

塩野 誠 経営共創基盤(IGPI)共同経営者/マネージングディレクター JBIC IG Partners 代表取締役 CIO

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しおの まこと / Makoto Shiono

国内外の企業への戦略コンサルティング、M&Aアドバイザリー業務に従事。各国でのデジタルテクノロジーと政府の動向について調査し、欧州、ロシアで企業投資を行う。著書に『デジタルテクノロジーと国際政治の力学』(NewsPicksパブリッシング)、『世界で活躍する人は、どんな戦略思考をしているのか?』(KADOKAWA)等、多数。

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