共学に通う「トランスジェンダー学生」の現実

日本初のトランスウーマン教員が解き明かす

トランスジェンダーの学生が、どれだけいるか、残念ながら信頼できる調査データはない。筆者が見たところ、少なくとも2000人に1人くらいはいると思う。1万人に5人(0.05%)ということになる。

筆者が非常勤講師をしている明治大学は在学生3万2000人なので16人くらいいる計算になる。早稲田大学は5万2000人なので26人くらいいるはずだ。少ないといえば少ないが、無視できる数ではない。

ついでに言うと、日本では、若い人に限ると、トランスウーマンよりトランスマンの方が圧倒的に多い。20代のトランスジェンダーだと、おそらく1:4~5くらいの比率だと思う。この点も世の中のイメージと大きく実情が違う。

2015年くらいから、各地の大学(国際基督教大学、明治大学、早稲田大学、大阪府立大学、龍谷大学、筑波大学など)でトランスジェンダー学生への対応ガイドラインが策定され、望みの性別での通称名の使用を認めるなど、積極的な対応がなされている。

特に、2018年度から導入された筑波大学のガイドラインは、病理を前提にしない(診断書の提出を求めない)対応方針で、かつ極めて詳細。今後、他大学のお手本になるだろう。

ガイドラインがない大学もまだ多いが、この数年でトランスジェンダー学生の状況は大きく改善されている。大学が好むと好まざるとにかかわらず、トランスジェンダー学生に前向きに対応しなければならない社会状況になってきているということだ。

日本社会はここまで変わった

トランスジェンダーの社会進出に際して、よく「トイレはどうするのだ?」と問題にする人がいる。しかし、たしかにトイレは日常的な問題だが、根元的な問題ではない。

容姿適合度に自信があれば、トランスウーマンなら女子用を、トランスマンなら男子用を使うのがいちばん無難だ。自信がなければ、どこの大学にでもある「誰でもトイレ」(多目的トイレ)を使えばいい。

現実にはそれでほとんど何の問題も起こらない。更衣室なども同様だ。トイレのような枝葉末節を理由にトランスジェンダーを社会的に排除するのはもうやめてほしい。

日本最初のトランスジェンダー大学教員としては、18年かかってやっとここまできたという思いがある。杉田水脈衆議院議員の発言のようにまだまだ無理解はあるが、日本社会はわずか20年足らずで、ここまで変わったのだ。

2018年5月、WHO(世界保健機構)の疾病分類(ICD)が改訂され、性同一性障害(Gender Identity Disorder)という病名の廃止が決定した。同時に性別の移行を望むことは精神疾患ではなくなった(完全実施は2022年)。

トランスジェンダー学生がいることが当たり前のことになり、2020年の春、トランスウーマンの学生が何事もなかったかのように女子大学の門をくぐることを願っている。

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