村上春樹に「チームくまモン」から届いた手紙

ノーベル文学賞に最も近い男が訪れた熊本

というのは、筆者も当日、その場にいたからです。デスクとの往復の中で、ちらりと横目をやりながら、不思議な一行がおられるとの認識はあったものの、パーティション1つ隔てたわずか2メートルほど離れた場所で別の来客の応対をしていたわけです。

それにしても、どうして初手から言うてはくれぬ……「籠釣瓶」の次郎左衛門ではありませんが、「そりゃあんまり袖なかろうぜ」と愚痴の1つも申し上げたいほどです。もちろん、事前にわかればどのような騒ぎになるかは、十分承知しております。が、吹聴して回るほど職業倫理を持ち合わせていないわけではありません。

チームくまモンが送った手紙

しかし。過去は振り返らない。それに、このままにしておくのは「もったいない」。そう考え反転攻勢(とまでの勢いではありませんが、そこは筆の勢いというもので)に出ることにしました。当日お見えになられていた編集者の方にお送りしたのが、次の手紙です。

(前半部・略)

貴誌拝読いたしました。「僕はくまモンに対して、好印象も悪印象も持っていない。そういうものがあるんだなというだけのことで、肯定もしないし否定もしない」と村上氏の率直なご感想がありました。

今回の来熊(らいゆう)で、残念ながら村上氏がくまモンに会う機会はなかった御様子。まずはくまモンに会っていただいたうえで、あらためて印象を持っていただきたいと思うのです。大変厚かましいお願いであることは重々承知しております。しかし「僕はいったん何かが気になりだすと、いちいち気になってしょうがない因果な性格」でいらっしゃるなら、周辺取材だけでなく、直接くまモンに会っていただくべきと思うのです。

どこへでも参ります。まずは貴編集部を訪ね、村上氏への取り次ぎをお願いすることから始めさせていただければと思います。

2点目。

今回の「熊本旅行記」。これまでにない視点で県内各地を切り取っていただき、大変ありがたく感謝申し上げます。

熊本といえば、熊本城と阿蘇、天草。誌面が少ないとどうしても古くから語られている著名な観光地に目が行きがちですが、今回は違いました。

たとえば「海の上の赤崎小学校」は時が止まったまま朽ち果てるのを待っていますが、その姿が語るものも多く、不思議と惹かれる場所です。隣接した公園もまた、黄昏(たそがれ)るのにもってこいの場所です。しかしここには毎週水曜日になると郵便局が開設され、「海に浮かぶ赤崎水曜日郵便局に自身の水曜日の物語を送ると、知らない誰かの水曜日の物語が送られてくる」というちょっと不思議で村上春樹的な(と勝手に思っておりますが)アートプロジェクトが行われています(ご興味があれば「赤崎水曜日郵便局」でご検索くださいませ)。

こうした場所を村上氏に紹介いただけたことは地元民としても大変ありがたい思いです。

(以下、略)

次ページ編集者にメールで送ったところ
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