村上春樹に「チームくまモン」から届いた手紙 ノーベル文学賞に最も近い男が訪れた熊本
くまモン担当部署に村上春樹氏が来た
2015年8月7日、知り合いからの「『CREA』9月号、早速買いました」というメールを見て、執務室で大声を上げてしまいました。なんと、村上春樹氏がブランド推進課(当時のくまモン担当部署)に来られていたとのこと。あの日あのときこの場所に、今、日本でノーベル文学賞に最も近い小説家が座っていながら、誰1人として気づかず、しかも応対した職員でさえ気づくことがなかったとは……。
同誌によれば、友人で熊本在住の吉本由美さんのお誘いで、6月中旬に熊本旅行にお見えになり、4泊5日の旅の途中、いたるところにくまモンの姿があり(と言ってもイラストのくまモンであり、本物のくまモンではないようです)、こうなると「僕はいったん何かが気になりだすと、いちいち気になってしょうがない因果な性格」なので、担当者のお話を聞きたく予定を変更して当課に見えられたとのこと。
応対した職員の話によれば、前日『CREA』の編集者の方から連絡があったうえでの来訪だったものの、女性誌にもかかわらず、女性1人(後日、吉本由美さんと判明)と男性3人という編成で来訪され、名刺を出されたのは編集者の人のみ、出で立ちもまさにプライベートな旅の途中というのがピッタリで、Tシャツに短パン不精髭姿の男性もいて(後日、村上春樹さんと判明!)、どうも怪しげな御一行と判断したらしく、課内は様子見の静かな空気が流れていました。
くまもとブランド推進課は当時、県庁職員の男女比と比べても女性が少なく、『文藝春秋』は知っていても『CREA』なる雑誌は存じ上げない男どもがほとんどだったのです。しかし、仮に『CREA』を知っていても、はたして旅の途中の村上春樹さんを正しく認識できたかどうかはなんとも言えません。変装とまでは言わないまでも、明らかに「村上春樹」を消していました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら