トルコリラで「騙された」という日本人の甘え 売る側も問題だが表面利回りしか見ていない

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渋澤:トルコリラの暴落を見るにつけ、なぜ日本人は自国通貨安を歓迎するのか、不思議に思います。メディアも、円が強くなると「円高不況だ」と大騒ぎするくせに、円安になると、「輸出企業を中心にして業績が良くなり、景気が回復する」などと言い始める。それは日本の信用力が高いため、ほどほどの通貨安で収まっているからです。直近で最も円安が進んだのは、1998年の1ドル=147円台でした。この程度の円安なら、通貨安のデメリットよりも、輸出企業の業績改善というメリットのほうが大きくなると思います。

しかし、もし1ドル=300円になったらどうでしょう。輸入される製品、物資の値段は瞬く間に値上がりし、非常に厳しいインフレに襲われます。結果、消費がどんどん落ち込み、不況のどん底に落ちる恐れがあります。個人金融資産のうち、現預金の額は961兆円あるわけですが、為替でその実質的な価値がたった1年でもし半分になってしまったら、480兆円程度まで目減りしたのと同じことなので、これは非常に強いネガティブ・インパクトです。

欧米では新興国に集中投資する投信はありえない

中野:自国通貨安を歓迎したり、表面的な利回りだけを見てリスクの高い商品に手を出したりするのは、ひとえに資産運用に関するリテラシーが低いからです。FXや債券、投資信託でトルコリラのポジションをたくさん持っていたのは、日本人くらいのものですよ。欧米では、ひとつの新興国に集中投資する投資信託なんて、まず売れません。ところが日本では、それこそ高齢者がこの手の金融商品をごっそり買っている。もちろん、金融機関があの手、この手で勧めるから、ということもあるでしょうが、自分の大事なお金を運用するのですから、何も調べず、考えずに投資すること自体が問題です。

渋澤:今回の件は、下手をすればほかの国・地域にも波及する恐れがありますね。

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