トルコリラで「騙された」という日本人の甘え 売る側も問題だが表面利回りしか見ていない

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藤野:日本人って表面利回りしか見ていないから、この手の商品に引っ掛かってしまう傾向があるのでしょうね。価格変動リスクが嫌いだから、投資の勉強は一切しない。でも、やっぱり高いリターンが欲しいから、高利回りと「元本の安心」をチラ付かせた金融商品があると、つい手を出してしまう。そういう人が本当に多いと思います。なぜ利回りが高いのか、どういった形で元本の安全性が担保されるのかを考えようとしない。

いったん短期的には戻る可能性もありだが…

渋澤:8月10日という週末の金曜日と、週明け13日のトルコリラは、文字どおりの大暴落で、一時1トルコリラ=16円を割り込みました。しかし、そもそも通貨がゼロになることはないので、冷静に考えればある程度、戻ると思います。実際、8月20日には1トルコリラ=18円前後で推移しています。

多少、楽観的な見方をするならば、トルコリラはアメリカとの政治対立によって、直近大きく下げたわけですから、今回の急落は行き過ぎであるとも考えられます。G20加盟国ですから、GDPの規模も比較的大きい。決して推奨するわけではありませんが、「短期的には目をつぶって買うのもあり」かもしれません。

中野:ただ、トルコは民間債務も大きく、個別の発行体には、デフォルト(債務不履行)のリスクがあります。

渋澤:それは、トルコに関するクレジットリスクを取った債券を買う場合の話ですね。たとえば発行体が世界銀行であれば、クレジットリスクはあくまでも世界銀行のそれなので、デフォルトの心配はありません。もちろん、トルコリラの為替リスクはありますが。

藤野:ところで、トルコの基幹産業って何ですか。

中野:自動車や電機が中心で、鉄鋼や化学、食品、造船、繊維など、かなり幅広い産業構造を持っています。日本のメーカーもかなり進出しています。

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