外科手術を刷新する「ロボット革命」の全貌

米国では前立腺手術の85%でロボットが活躍

近い将来、ロボット手術が当たり前になるかもしれない(写真:インテュイティブサージカル)
テレビドラマ『ブラックペアン』(TBS系、2018年4〜6月放送)には、手術支援ロボット「ダヴィンチ」が登場した。これによって、はじめて最先端の外科手術の一端を知った人も多いことだろう。脚光を浴びる日本における手術支援ロボットは、いったい何がスゴイのか。ロボット心臓手術の第一人者で、「心臓外科のブラック・ジャック」と呼ばれる渡邊剛医師に解説してもらった。

“ウイーン”と音を立てながら機械のアームが動く。ロボットの「手」が人間の身体にメスを入れ、手術が始まる。この光景はSFではない。すでに現実のものとなっている。

適用範囲も徐々に広がっており、2018年4月には、ロボットを用いた心臓手術の中で弁膜症に対する弁形成術という手術が健康保険で認められた。本稿では、手術支援ロボット「ダヴィンチ」についてわかりやすく解説をしていきたい。

不可能を可能にする

ダヴィンチは完全な内視鏡下で手術できるのがポイントだ。通常の内視鏡手術は視野が2次元になる。対してダヴィンチによる内視鏡手術では、3次元のハイビジョン画像で見られる。画像の見え方がまったく違うのだ。

これだけではない。通常の内視鏡手術では、文字通り「鏡」を見ながら進めるため、手の動きと画面上の鉗子の動きが逆になる。他方、ロボット手術では見た通りに操作できる。

まだある。内視鏡鉗子は直線的な動きに限られる一方、ロボット鉗子はアームに自由度があるため、手術を行う医師の手首のように上下左右に回転して動かせる。

さらに、実際の手の動きを5分の1まで落としてゆっくりと動かしたり、手振れを補正したりできる。患部を15倍に拡大できる「ズーム機能」まである。要するに、従来では不可能だったことを可能にする。それがダヴィンチだ。

一般的な切開手術は、大きな手術痕が残ってしまい、痛みも激しく回復も遅いとされている。それに対し、内視鏡を用いた外科手術は、切開が最小限に抑えられるため、痛みが少なく回復も早い。しかも、傷痕が小さい。入院も短期で済む。

それがロボット手術により、さらに精度が向上するのだから、現代はかつて夢見た世界を医療分野で実現したといっても過言ではないのかもしれない。まさに「夢の機械」だ。

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