外科手術を刷新する「ロボット革命」の全貌

米国では前立腺手術の85%でロボットが活躍

ダヴィンチが世の中に出現したのは2000年。そのルーツは1990年代までさかのぼる。アメリカの国防総省は湾岸戦争当時、前線にいる兵士をアメリカ本土から遠隔治療するアイデアを持っていた。戦後、その遠隔操作型ロボットの権利を取得した外科医が、インテュイティブサージカルという会社を立ち上げた。

同社は当初、ベンチャーキャピタルより100億円の資金を集め、その後毎月3億円の資金を投下した。そして、わずか4年で「ダヴィンチスタンダード」を完成させた。「夢の機械」は瞬く間に世の中に広まった。

ダヴィンチはドラスティックな機械だ。前述した通り、1つの術式が1つの機械によって、切開手術から完全内視鏡手術にと劇的に変更された。通常内視鏡のインパクトをはるかに超える発明のすごさを物語っている。

ダヴィンチの名前は言わずもがな、イタリア・ルネサンス期の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチにちなんでいる。人体の解剖学に関する研究を進歩させた彼のように、ロボットのダヴィンチもまた、外科手術の世界を一変させた。

ダヴィンチの登場は、100年に1度の外科手術の大きな進歩の幕開けを告げた。筆者はそう考えている。

あらゆる外科治療に使える

ロボットは、どの程度の手術が可能なのか。心臓が酸欠を起こす病気である虚血性心疾患の代表的な外科手術に「冠動脈バイパス術」がある。手術に使うロボットには、この「冠動脈バイパス術」に使えるよう、直径1.5センチの血管同士を直接結びつけたり切ったりできるくらいの精密さが求められていた。

ダヴィンチスタンダードは、そのベンチマークを軽くクリアしていた。実際、ダヴィンチスタンダードが最初に用いられたのは心臓手術だった。かくして、ほぼすべての領域の外科治療に使えることが証明された。

冠動脈疾患の治療体系がステントなどのカテーテル治療に移るに従い、ロボットの使命は心臓手術ではなく、まずは身体の深部の細かい手術を必要とする泌尿器科の前立腺切除に応用された。

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