さらに、トヨタの分析でもお話ししたように、米国全体で自動車の販売が伸びていることから、北米の「外部顧客への売上高」が1522億円から1946億円まで急増しました。その結果、前年同期は107億円の「セグメント損失」を計上していましたが、今期は米国で10億円の黒字に戻したのです。
欧州も、「売上高」「セグメント利益」ともに回復しています。欧州景気は好調とは言えませんが、金融不安が小康状態となっているために、経済が少し安定しつつあるのです。こちらの好影響も受けています。
マツダは長い間、業績不振に苦しんでいました。貸借対照表の「純資産の部」にある「利益剰余金」を見てください。これは利益の蓄積を表した数字で、マイナス408億円となっています。昨年まで、世界的な不景気や円高の影響で赤字が続いていたために、利益剰余金が減少し続けていたのです。それが、ようやく回復に転じ、この6月末では利益剰余金のマイナス幅を60億円ほど縮小させることができました。
ただ、損益計算書の中で少し気になったのは、「特別損失」の「為替差損」が271億円計上されていることです。今は円安水準が続いているのに、なぜ、為替差損が生じたのでしょうか。
それは、マツダはいつも、向こう半年間の為替予約を行っているからです。2013年4~6月期の半年前、つまり2012年10~12月の為替レートは、1ドル=78円から83円を推移していました。その後、この超円高水準が急に是正され、1ドル=100円前後まで円安が進んでしまったために、為替予約をした時のレートと、実際に売り上げた時点でのレートの間で差損が出てしまったというわけです。
以上のことから、マツダの最終的な利益である「四半期純利益」は54億円となりました。直前の2013年3月期決算は5期ぶりの黒字となりましたが、2014年3月期第1四半期も黒字となりました。10月31日には中間決算が発表になり、引き続き順調に業績が回復している様子がうかがえます。
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