ホンダ「フィット」の逆襲 月販目標1万5000台は最低線、HVは7割想定

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9月5日、燃費ナンバーワンを掲げて華々しく登場したホンダの新型「フィットハイブリッド(HV)」。目下、国内の新車市場でトップを走るトヨタ自動車のコンパクトHV「アクア」に強力なライバルの登場とあって、自動車系のメディアだけでなく、一般媒体も新型フィットの誕生を大きく取り上げた。

「フィットはホンダの最重要機種、燃費ナンバーワンにこだわった自信作」と伊東孝紳社長は言う。新型フィットHVの最高燃費はガソリン1リットル当たり36.4キロメートル。同35.4キロメートルでトップだったアクアを上回った。ホンダは販売台数でも、ナンバーワン奪取を宣言するのか……と思いきや、これが意外に慎重だ。

ホンダが発表した新型フィットの月間販売計画台数は1万5000台(HV、ガソリンエンジン車を含む全シリーズ合計)。HVは旧型では全体の4割程度だったが、「新型は7割程度を想定している」(国内販売を統括する峯川尚専務・日本営業本部長)。

トヨタ「アクア」は月販2万~3万台をキープ

一方、アクア(11年11月発売)の販売台数は、発売後、月間2万~3万台をキープしている。ホンダ自身の大ヒット軽自動車「N-BOX」(11年12月発売)も2万台前後の月販台数を、記録し続けている。単純に比較すると、ホンダは新型フィットについてアクアを抜くどころか、自社の軽自動車の水準にも及ばない水準の目標を立てていることになる。

峯川専務は「旧型フィットからの乗り換えや既存ホンダユーザーの数などをもとに出したロジカルな目標台数」と説明。かつては新型の登場と同時に乗り換える客や、軽自動車などからのステップアップ客が見込めたものだが、近年、買い替え期間は長くなり、ステップアップどころか軽自動車へのダウンサイジングも珍しくない。大ヒット車の新モデルであっても飛ぶように売れる、とはいかない。「軽自動車とフィットのようなスモールカーの間での顧客の行き来はけっこうある」(峯川専務)。

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