ホンダ「フィット」の逆襲 月販目標1万5000台は最低線、HVは7割想定

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ホンダの国内販売を統括する峯川尚専務・日本営業本部長

また、ホンダは、年内をメドに、フィット派生の小型SUV(スポーツ多目的車)、小型セダンのほか、トールワゴンタイプの軽自動車など新車を矢継ぎ早に投入。ミニバン「オデッセイ」のフルモデルチェンジも控えている。ニューモデルのラッシュで、フィットといえどもホンダ内における自社競合が発生するのは確かだろう。

事前受注2万5000台は旧型を上回るが…

新型フィットの事前受注台数は2万5000台。旧型の水準を上回るというものの、フィットはデビューから12年が経過した大ヒットモデルで、膨大な旧型ユーザーがいることや、テレビでの事前広告など1カ月以上も前からさまざまな形で露出が進んでいたことを考えると、やや物足りない気もする。

とはいえ、やはり1万5000台という数値は、ホンダとして必達を約束する最低ラインの水準、と見るほうがよさそうだ。

「軽・スモールカーを専門に扱う店舗であるスモールストアを現在の235店舗から300店舗に拡大する。これで軽・スモールカーのニーズが強い地域への拠点整備はほぼ済む。iPadを活用したセールスや顧客管理など情報化も進め、営業効率のアップも図っている」。峯川専務は、フィット拡販をにらんだ営業体制の強化が着々と進んでいることを強調する。

ホンダのライバルからは「事前告知が始まってから、『新型フィットの実車と比較したうえで検討する』という客が増えた。コンパクトカー販売には明らかに影響が出ている」(都内の競合メーカー系販売店の店長)との声が聞こえる。ユーザーは明らかに新型フィットの動向を気にしているようだ。

旧型フィットは月間2万5000台レベルを販売していた実績もあり、この水準をキープすればナンバーワンも奪回できる。2009年5月に3代目プリウスが登場して以来、11年1月、4月に一時的に逆転したことを除けば、ホンダは、ほぼ一貫してトヨタに先行を許し、さらに弟分アクアによって一段と差を広げられている。トヨタHVと軽自動車だけが目立つ国内自動車市場に、久方ぶりの波乱を起こせるか――。ホンダ「フィット」の逆襲が始まっている。

(撮影:梅谷 秀司)

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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