5年後「高学歴大量失業時代」がやってくる?

AIの進化はそら恐ろしい速度で進んでいる

中原:AIとは少し異なりますが、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ばれるソフトの普及が急速に進んでいます。パソコンを使ったデータ入力などの繰り返し作業を担うことができ、今では広範な事務作業に使われ始めています。人が犯しがちなミスを防ぐことができ、作業速度は10倍といった具合に格段に速いので、日本の企業では人員削減のために、RPAが積極的に使われていくことになると思います。AIと同じように、RPAの性能も上がり続けているのでしょうか。

なぜ欧米は「人間の8割の力しかないAI」を使うのか

伊東:性能自体が格段に上がっているわけではありません。ただ、自分たちの仕事に合わせたカスタマイズが容易にできるようになったということが大きいでしょう。今では普通のシステムエンジニアが普通にカスタマイズすることができます。

現在、一般的なPC業務のうち47%がRPAで代替できるといわれています。この先、本格的なAI社会が到来し、RPAと融合すると、定型PC業務のほとんどが消滅するというような恐ろしいことが起きるといわれているのです。

中原:もともとRPAはソフトメーカーであるアメリカのオートメーションエニウェアと英ユーアイパスが2000年代初頭に開発したもので、10年以上前から欧米の企業では利用され始めていました。それがなぜ昨年あたりから、日本の大企業を中心に急速に利用が広がり始めているのでしょうか。

伊東:それは、最近になって日本の企業に極端な人手不足感が出てきたからでしょう。日本はOECD加盟国の中で、GDP当たりのIT投資額が最も少ないIT後進国でした。どうしてそうなったかというと、日本の企業経営者は人をITに置き換えるのなら、ITに人手で行っているとき以上の成果を期待していたからです。ところが欧米では、そこまでの期待はせず、8割で良いと考えています。人間の8割の成果を出してくれるのなら、積極的にITに置き換えていこうという考え方なのです。

なぜ8割で良いかというと、欧米ではルーティンワークの担い手の離職率が高いからです。日本のように長くは勤めてくれませんから、欧米企業の多くの経営者が事業の継続性をとても大事に考えていて、継続させるためには積極的にITを導入して、人と置き換えていきます。ですから結果的に生産性も上がるのです。

これに対して日本の企業では、ITを入れても人を減らすことができません。日本の雇用慣行では簡単には辞めさせられないからです。どうせ人を辞めさせられないのなら、人手でこなして、ITを入れる必要はないという企業も多かったのです。

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