5年後「高学歴大量失業時代」がやってくる?

AIの進化はそら恐ろしい速度で進んでいる

「アルファ碁」は、韓国の囲碁チャンピオンであるイ・セドル氏と対戦し、4勝1敗で勝利しますが、その対戦で「アルファ碁」が敗れた1敗は、開発者たちが恐れていた暴走によるものでした。

伊東千秋(いとう ちあき)/1970年東京大学工学部卒、同年富士通株式会社に入社。1998年より3年間アメリカの富士通子会社のCEO。2004年専務取締役(プロダクト部門担当)、2006年代表取締役副社長(海外ビジネス担当)、2008年取締役副会長(次世代技術戦略・R&D担当)、2010年富士通総研代表取締役会長。現在、日立造船、ゼンショーHD、OBCの社外取締役(撮影:尾形文繁)

チャンピオンはたった3手のミスを見逃さず、「アルファ碁」に勝利してしまったのです。その後、開発者たちは暴走した原因を徹底的に分析し、改良を重ねて、現在では2000層ものネットワーク層を持つ人工知能を開発しています。5~6層の人間と、2000層のコンピュータでは勝負になるはずがありません。

中原:人間の脳が5~6層なのに対して最新のAIが2000層だとすると、ケタが違いすぎて凄いというよりも、何だか不気味な感じがします。

伊東:たしかに、研究者の目から見ても不気味です。ただ、そこは数字の問題だけではなくて、生物というのは神様が何億年もかけてつくり出したもので、もっと複雑な何かがあると思っています。たとえば、人間のDNAも実際に役に立っているものは2%しかないことがわかっています。それでは、残りの98%のDNAの存在は無意味かというと決してそんなことはないと思います。われわれが解明できていないだけで、きっと何か意味があるのだろうといわれています。したがって、コンピュータの性能をどんどん良くしていけば、人間を圧倒できるというわけではありません。

しかし、コンピュータには力技の限界がない。疲労を知らない。脇見をしない。やはり人間は分が悪いですよね。

ディープラーニングの仕組みはまだ解明されていない

中原:さらに不気味なのは、ディープラーニングの仕組みが解明されていないということです。人間は得体の知れないAIをコントロールすることができるのでしょうか。

伊東:たしかに、多くの研究者や識者が「AIは気味が悪い」といっています。これまでの学問や研究では、そのバックグラウンドに数式や公式などがあって、ここまでは可能、ここから先はまだ難しいということがわかっていました。

ところが、ディープラーニングの世界になると、どうしてそれが可能なのか、そのプロセスがまったくわかっていません。だから、みんな気味が悪いといっているのです。AIは人間と良い関係を築けるかもしれませんし、もしかすると、人間が制御できなくなる存在になるかもしれません。

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