大阪市長「学力テスト発言」が危険である根拠 日本は過去何度も同じ失敗を繰り返してきた

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こういった失敗事例は日本だけではありません。有名なのが、イギリスのサッチャー政権が推進した全国統一学力テストによる教育崩壊です。1988年に始まったこの学力テストにおいても結果が公表され、それを見て保護者は子どもの学校を選択するようになりました。また、集まった児童・生徒の数によって学校予算が配分されるようにもなりました。その結果、児童・生徒が激増する学校と激減する学校が生じ、当然学校予算も同じように増減し、学校運営は混乱を極めました。

そして、希望者の激増した学校は対応できなくなり、学校から住居が近い順に児童・生徒を受け入れるようになりました。すると、引っ越しができる裕福な家庭が人気校周辺に住居を移し、不動産価格が跳ね上がりました。すると、貧困家庭はそこに住めなくなり、不人気校の周辺に引っ越さざるをえなくなり、学校間格差のみならず地域間格差が広がりました。廃校になる学校も続出し、これによってさらに地域が荒廃しました。こうしたことがイギリス全土で起こったのです。

こうなると校長も教師も必死にならざるをえません。でも、いくら普通によい授業を行ったとしても、そう簡単に学力テストの点数を大きく上げることはできませんので、結局は過去問を繰り返しやらせるとか、不正に手を染めるなどするほかなくなってしまったのです。

音楽・美術・体育などの時間を減らして国語や数学に回す、成績下位の子や英語が不得手な移民の子にはテストを受けさせない、教師が正答を教える、誤答は書き直させてから回収する、などです。日本と同じような不正がイギリスでも行われていたのです。

そして、なんと、イギリスの失敗が明らかになった直後に、日本で始まったのが現行の学力テストなのです。このような競争原理・市場原理をもとにした方法が大いなる混乱をもたらすことが既に明らかになっていたのにもかかわらず、日本もまた同じことを始めてしまったのです。

もう一度年代を整理すると、まず日本自身が1960年代に失敗していました。そして、イギリスが1980年代後半から1990年代にかけて失敗しました。そして、足立区が2000年代に失敗しました。そして、また大阪市が同じことを繰り返そうとしているのです。その結果は目に見えていると言わざるをえません。

市長にぜひ取り組んでほしいこと

そもそも子どもの学力は学校教育だけで決まるものではありません。文部科学省も、全国学力テストの結果を分析した結果、「親の年収や学歴が高いほど、子どもの学力が高い傾向があった」と2014年3月28日に発表しています。テスト結果を校長や教員の人事評価とボーナスの額に反映させれば子どもの学力が上がる、というような単純なものではないのです。時間はかかりますが、じっくり取り組んで、市民の経済・生活の底上げをしていくことが必要であり、それこそ市長の仕事ではないでしょうか。

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