それどころか、日本のデータを用いて行われた他の研究では、相対年齢による格差は、学力にとどまらず、進学、最終学歴、賃金など、人生における長期的な成果にまで影響していることを示している[4][5]。
生まれ月がもたらす格差は、決して自然と解消されていくわけではないようだ。
また、学力に対する相対年齢効果は、特に学力の低い子どもの間や保護者の社会経済的な環境が教育が困難な子どもの間で顕著であることを示す研究もある[4][6]。
教育における対策が必要
元々、不利な環境にいる子どもたちが、生まれ月という自分の力ではどうしようもないことによってさらに不利な状況に陥っていっていくことのないように、家庭や学校、塾などでも、特に注意が必要なのではないだろうか。
では、具体的にはどうしたらよいのだろうか。
学力テストを実施する時期を生まれ月によって変えて、それぞれの発達状況に合わせたきめ細かな評価をするということも考えられるかもしれない。たとえば、4月生まれは4月に、翌年3月生まれは3月に、などと生まれ月に学力テストを実施するというのはどうだろうか。
確かに、近年の研究では、こうした取り組みをしてみると、生まれ月が学力に与える効果の推定値は小さくなったことを報告している研究がある。生まれ月が異なるのに、そのことを考慮せずに同じ時期に一斉に成果を計測していることが問題だという指摘である[7]。
とはいえ、テストの時期を変えても生まれ月の効果はゼロにはならず、やはり何らかの、教育における対策は必要なようだ。
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