沼口:サメ以外にも、ロウニンアジも来ましたね。
木本:GT(ジャイアントトレバリー)ですね。あこがれの魚です。
サメだけに存在する“第六感”
沼口:実はサメには第六感があります。特にシュモクザメは頭の面積が大きいですよね。それには理由があって、頭にロレンチーニ器官という、生物の微弱な電流を感知するものがあります。シュモクザメは海底すれすれに、頭をまるで地雷探知機のようにして泳ぐんですが、砂の中にいるエイやカニ、ヒラメを感じて捕食することができます。
木本:そのセンサーのためなんですね。
沼口:シュモクザメの頭がなぜあのような形になっているかにはいくつか説があるのですが、彼らを観察しているとこの仮説が腹落ちするような気がします。
木本:そういえば、相模湾の浜辺でシュモクザメが大量にいるから遊泳禁止というニュースが流れましたが、その判断は正しいのですか?
沼口:シュモクザメに関しては被害例がほとんどありません。1982年に熊本でサメによる死亡事故が報告され、シュモクザメの可能性があると報道されましたが、科学的にそれがシュモクザメであったという証拠は出ていないようです。シュモクザメは夏に伊豆や相模湾、駿河湾辺りを回遊しているので、たまたまその浜辺を通ったのではないでしょうか。
木本:でも映画のジョーズみたいで、ちょっと怖かった。海面からスーと現れたら、人間はどうしたらいいんですか。泳いでいたら、挑発しないよう、動きは止めたほうがいいんですか。
沼口:挑発はしないほうがいいですが、普通に通り過ぎると思いますよ。
木本:そこを聞いておかないと、パニック起こしてしまう! おぼれなくて済むのにおぼれてしまう。もし、触ろうとしたら怒りますか。
沼口:触ろうとして噛まれたという例があります。刺激は与えないほうがいいですね。5~6mになるシュモクザメがいますが、相模湾に現れるのは1.5m程度で口も小さいので、万が一かまれても死ぬことはないと思いますよ。
木本:「人食いザメ」というイメージは払拭したほうがいいんですね。
沼口:はい。でも、大きなサメが現れたならば、安全ですとは専門家として言えません。ただちに海から上がるなど、相手は野生動物ですので、危険を避ける行動は必要でしょう。でも実際に死亡事故はほとんどないので、そこまで恐れなくてもいいと思います。
(構成:高杉公秀)
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