片頭痛の引き金となる「食べ合わせのワナ」 原因不明の片頭痛はチーズやワインが一因か

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その後いろいろと試して、ブルーチーズ以外のチーズでは起こらないこと、蒸留酒では起こらず、醸造酒でも赤ワイン以外のものでは起こらないことを確かめた。以来、赤ワインとブルーチーズとの組み合わせを慎重に避け、片頭痛の発作には見舞われていない。

年に1~2回はあった片頭痛の発作も起こさなくなった。それまでは赤ワインとブルーチーズの組み合わせを食べて、片頭痛を起こしていたのかもしれない。

食物によって起こる頭痛(片頭痛)は、日本人には少ないといわれている。だが、実際にはわからない。

なぜ、摂取する食物によって片頭痛が起こるのか。食物に含まれている化学物質が脳血管に作用するためと考えられているが、詳細なメカニズムは不明である。

食物による頭痛に見られる特徴

●単独の誘発因子(赤ワイン、ブルーチーズなど)だけでは頭痛発作は誘発されず、同時に2つ以上の誘発因子に暴露されると頭痛発作を起こす。

●食物以外の因子が関わること(生理周期と赤ワインなど)もある。

●1つの誘発因子が常に発作を起こすとは限らない(ストレス時に赤ワインを飲んでも常に頭痛が起こるわけではなく、ストレスとチョコレートのこともある)。

その片頭痛、食べ物が原因かも?

欧米でよく知られたものとしては、「ホットドック頭痛」と「中華料理屋症候群」がある。前者は、ホットドックに使われている(安い)ソーセージの添加物として使われている亜硝酸ナトリウムで、後者は中華料理屋で大量に使われることのあるグルタミン酸ナトリウムが原因とされる。

他にもチーズ(特に熟成度の高いもの。ブルーチーズなど、含有されるチラミンによる)、赤ワイン(含有されているチラミン、硫酸塩、ヒスタミンなどによる)、チョコレート(特にカカオの濃いもの)でも起こる。

自身の経験から、頭痛を主訴として受診する患者さんには必ず、「食生活にも気をつけるように」と助言している。帰国後今までに数人の患者さんから「思い当たることがあった」という話を聞いた。

誘因が思い当たらない片頭痛は、一度食物を疑ってみるのもいいかもしれない。

北原 雅樹 ペインクリニック専門医、麻酔科医

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きたはら まさき / Masaki Kitahara

横浜市立大学附属市民総合医療センター ペインクリニック診療教授。1987年東京大学医学部卒業。1991〜96年、世界で初めて設立された痛み治療センター、ワシントン州立ワシントン大学ペインセンターに留学。帝京大学溝口病院麻酔科講師、東京慈恵会医科大学ペインクリニック診療部長、麻酔科准教授を経て、2017年4月から横浜市立大学附属市民総合医療センター。2018年4月現職。専門は難治性慢性疼痛の治療。

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