「東京に行かせない」と親に言われた時の対処 どのように「社会人」としてスタートすべきか

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親を含めた誰かが理想だと思う人生を歩むのが大人の人生ではありません。それは子どもです。

自分自身が理想だと思う人生の姿を見つけ、その姿を探求し続ける姿こそが大人の生き方なのではないでしょうか。

したがって、富谷さんとして信じる道があり、勝負したい場所があるのであれば、その道を進むべきです。

私たちは皆、幸せになるために生まれてきているのです。しかしその幸せの形は人それぞれです。親御さんが思う富谷さんになってほしい幸せの形と、富谷さんが目指す幸せの形は「現時点では」異なるのかもしれません。

しかしながら、道や形はどうであれ、すべての親御さんはおそらく究極的には子どもの幸せを願っているはずです。たとえそれが自分たちが「あのとき」望んでいた姿ではなかったとしても。

であるからこそ、自分の道を進むことを決めたのであれば、富谷さんにできることは道を突き詰めて幸せになり、幸せの達成を通じて親御さんにできるかぎりの恩返しをすることです。

自分が描いた道を進むほうがいい

きれいごと抜きに申し上げますが、どんな道を進もうと、今後社会に出て経験する人生はこれまでの学生生活よりも、理不尽でつらく、険しい道のりとなることは間違いありません。

そういった道を乗り越えられるか否かは、自分が向かっている道や夢に対してどれだけ真剣でい続けられるか否か、です。

そう考えますと、他人が描いた道を進むよりも、自分が描いた道を進むほうがいいこともわかると思います。

私自身も自分の人生の方向性を決めるにあたって誰かのアドバイスを聞いたことも、誰かの生き方を参考にしたこともありません。

そして偶然か、私の周りには親の反対を押し切ってでも海外に出た、東京に出てきた、自分が選んだ会社に入った、そういった人たちが多く、みな生き生きとした顔で人生をエンジョイしています。

卒業が自分の人生を歩み始める第一歩だとすると、社会人としてはまったくの白紙からのスタートなのです。その白紙の上に、どれだけ力強く、継続した画を描けるか否かは富谷さん自身にかかっています。

本回答自体が前述の『極端のすすめ』と同じようなメッセージになってしまいますが、理想と思える人生があるのであれば、自分を信じてその道を迷わず進みましょう。

途中で道に迷ったとしても、最終的に迷った自分を助けてくれるのは自分を信じて道を歩んできた経験があるか否か、です。

そういった経験を通じて、つまりいろいろと思いどおりにいかないことや小さな成功を通じて人生のキャンバスは色彩豊かなものになっていくのでしょう。

そして最後ですが、現時点で意見が合わないからといって、今までの人生を支えてくれた親御さんの生き方や考えを決して否定してはいけません。

そういった違いを否定せず、むしろ理解し敬意を払ったうえで、自分の人生を進むのが本当の大人なのです。

富谷さんが自分を信じて、大人の人生を歩む一歩を踏み出されるであろうことを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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