ソニー、エレキ復活に「黄信号」 大幅下方修正で、利益横ばい計画は一転して減益に

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「新興国経済の低迷などが原因。ただ10~12月期はいちばんの繁忙期であり、強みの4Kテレビで成果を出したい」(加藤CFO)と力を込めるが、「(黒字化の達成は)8月時点より厳しくなっている」(同)と事業環境の厳しさを認める。

前期の利益は大半が資産売却益

実は黒字浮上した前期の営業利益2300億円のうち、2000億円超は米国本社ビルやソニーシティ大崎の敷地・建物の売却など、資産売却益が占めていた。

加藤CFOはエレキの黒字化に自信を見せた

こうした特殊要因が剥落しても前期並みの営業利益を確保できる理由として、円安の追い風に加え、前期は1344億円の赤字だったエレキ事業が1000億円の利益を計上できると見込んでいた。

引き続き「エレキの黒字化目標は達成できる」(加藤CFO)とするものの、その水準は数百億円程度へと大幅に縮小される。

「昨年4月の社長就任以来、エレキをこう再生したいと思ってきた方向に向かい、やっと流れができて、商品が出始めた。今は手ごたえを感じている」

10月中旬、東洋経済などとのインタビューに応じた平井一夫社長はこう語っていた。だが、今回の下方修正を見る限り、ソニーのエレキ再生はまだまだ道半ばだと言わざるをえない。

風間 直樹 『週刊東洋経済』編集長

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かざま・なおき / Naoki Kazama

1977年長野県生まれ。早稲田大学政経学部卒、法学研究科修了後、2001年東洋経済新報社に入社。電機、金融担当を経て、雇用労働、社会保障問題等を取材。14年8月から17年1月まで朝日新聞記者(特別報道部、経済部)。復帰後は『週刊東洋経済』副編集長を経て、19年1月から調査報道部、同年10月より現職。著書に『雇用融解』(07年)、『融解連鎖』(10年)、電子書籍に『ユニクロ 疲弊する職場』(13年)など。

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