人生100年、「学び直し」には本当に効果がある

「経済財政白書」が示す雇用や年収への影響

学び直しの効果は年収の変化だけではない。同じ要領で、(A)現在働いていない人が学び直しをすると、就業する確率がどの程度変化するか、(B)現在は専門性の高い職業に就いていない人が、学び直しをすることで、専門性の高い職業に移動できる確率が高まるか、の2点についても分析を行った。後者(B)については、今後の技術革新を踏まえると、特に非定型である専門性の高い職業の需要が一層高まることが見込まれる。

分析結果をみると、就業する確率は、学び直しにより10~14%増加するとの結果が得られた。また、専門性の高い職業への移動についても、学び直しにより、その確率を高められることが示されている。なお、グラフは省略するが、やはり学び直しの方法別に分析したところ、大学等での学びが最も効果が高い一方、独学等による学習でも一定程度の効果があることが確認できた。

中期的には費用対効果が高い

これまでは学び直しを行うことによる効果に着目してきたが、同時に、コストの面についても考える必要があるだろう。そこで、前述の推計に用いたサンプルにおいて、学び直しに費やした金額と時間の平均値を確認した。学び直し(全体)では月当たり約1.6万円・18時間である。方法別のコストでは、大学等での学習が大きく(月当たり約5.8万円・48時間)、独学等では小さい(月当たり約1.1万円・15時間)傾向にある(値はすべて就業者のケース)。

個々人による差が大きいため、ここから一概に費用対効果を断定することは難しいが、年収の増加幅や、専門性の高い職業に就業できるなどの効果を踏まえると、直接的な費用(金額)の観点からは、学び直しは中期的には費用対効果の高い可能性が考えられる。

一方、時間的なコスト(費やした時間)の観点からは、人によってはコストが非常に高いものとなる可能性がある。普段の仕事が忙しければ、そもそも学び直しを行う時間を確保することは非常に困難であろう。

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