鳶職から転身したITベンチャー社長の生き様

失敗は当たり前、未熟だから乗り越えられた

自社のオフィスにて。創業6年、「建設業をもっと魅力ある業界にしたいんです」(撮影:尾形文繁)

人生100年時代、キャリアは主体的に構築するのが大事――しかし、人生はなかなか計画どおりにいかない。重要なのは正しい選択をすることではなく、何度も道を選び直し、その積み重ねによって納得できる人生を作り上げることだ。そんな生き方を実践する起業家を紹介しよう。

創業6年のハンズシェア(東京都港区)は、建設業者のマッチングサービス「ツクリンク」を手がけるITベンチャーだ。

塗装やリフォームなど発注したい工事の情報をサイト上で公開すると、受注できる企業や職人から応募が来る。また受注側も「内装解体工に数名空きあり」などと情報を発信し、発注側に逆オファーができる。登録する事業者数は現在約2万3000件。過去1年で1.5倍に伸長し、サービス上でやり取りされる工事案件の累計額は46億円に上る。競合サービスは複数存在するが、登録件数や成長率ではツクリンクが頭一つ抜けている。

食うのがやっとの大学時代

これまでIT化が進んでこなかった業界でツクリンクが受け入れられているのは、共同創業者の内山達雄さん(41)の経験によるところが小さくない。内山さんは大学を中退、奨学金の負債200万円を背負って建設現場の鳶職人になった異色の経歴の経営者だ。

内山さんは神奈川県生まれ。いわゆるロストジェネレーションの世代だ。内山さんが関東学院大学工学部に入った1996年は、首都圏であっても仕事の数より働き手のほうが多かった。同年の神奈川県の有効求人倍率(パートタイムを含む)は0.5倍程度。求職者の半分は仕事にありつけなかった計算になる。

内山さんは家庭の事情もあり、大学生活にかかるおカネの一切は奨学金とアルバイトで賄う必要があった。少しでも高い時給を求めて深夜に働けば、午前の講義を寝過ごしてしまう。学業を優先すれば、月収は10万円を下回る。家賃4万円の風呂なしアパートに住んだが、文字どおり食うのがやっと。ガリガリにやせた内山さんを見て、心配した友達が食材を差し入れてくれることもあった。

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