「体温超え」が18歳未満の子に超危険なワケ 医学博士「体温調節機能が大人とは全く違う」

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とはいえ、水分補給は重要ではある。脱水を防ぐからだ。人間は体の約6割が水分で構成される。血液以外に組織の体液も循環している。

永島さんによると、この循環は重要臓器が優先だ。特に暑熱下で活動した場合、脳や心臓、筋肉への血流が最優先となり、最後になるのが皮膚の血流である。脱水状態になると皮膚の血流や発汗機能が犠牲になるので、水分の摂取は必要ではある。

「わかっていただきたいのは、子どもでも水やスポーツドリンクを飲めば脱水の進行をかなり防ぐことができるが、大人ほどには体温調節の助けにはならない、ということです」

永島さんによると、熱を逃がす機能のほかに解剖学的な問題もある。子どもは体が小さいので、外気温からの影響を受けやすい。体温(36~37度)より外気温が大きくなると、体の面積の少ない子どもはもろに影響を受けるという。

この「体温超え」は、大人にさえ危険が及ぶ。

実は、皮膚表面の温度より外気温が高くなると、皮膚血管拡張が起きても熱を逃がすことができなくなる。逆に熱を体に取り込むことになり、大人も子どもも危険にさらされる。だから、気温が36~37度以上を記録すると「体温より高い」ことが注目されるわけだ。ただし、体温越えでない環境でも、湿度が高くなると大人も汗をかけなくなるので注意しなくてはいけない。

特に、労作が加わるときは十分注意しなくてはいけません」と永島さん。「労作」とは、運動や何かの作業で体を動かすこと。

豊田市の小学1年生が亡くなった日は、気温32度。猛暑日に満たなかったこともあり校外学習に出掛けたというが、子どもは徒歩による移動や外遊びという「労作」が加わっている。気温が高いときに労作が加わると、どうしても体内には熱がたまる。

気温の計測地点より、子どもはずっと地面に近い

毎日発表される「その日の最高気温、最低気温」は、「地上150センチ」の「日陰」で計測されたもの。よって、直射日光が当たるところで体感する気温とは大きな差がある。

子どもには、輻射熱が及ぼす影響が違う。輻射熱は赤外線で、地面からの照り返し。小さな子どもは地面に近いため、より影響を受ける。とにかく、あらゆる面で、中高生を含めた子どもが、大人とは違うのです」と永島さんは強調する。

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