レベルファイブの真似できない「凄さの秘訣」

日野社長が語る「妖怪ウォッチ」成功の理由

では、どのようなオペレーションをもって、こうしたコンテンツ開発に取り組めているのか。同社創業者で社長を務め、またレベルファイブが持つ各種キャラクターあるいはその世界観を生み出してきた日野晃博氏に話を聞いた。

「“どこからどこまでかかわっているんですか?”と言われると、ゲーム、アニメだけでなく、玩具など、ありとあらゆるジャンルの制作を見ています」

多くのメディアにまたがった幅広い事業を展開しながらも、統一された世界観を決して逸脱しない。キャラクターたちが長期にわたって生き生きと活躍する。そんな一貫性のある制作を、多くのステークホルダーがかかわる委員会制度の下でどのように業務を進めているのかを質問すると、日野社長はそう話した。

ゲーム業界で知らぬ者はいない日野氏だが、もともとは8ビットパソコン時代、ゲームソフト会社が多く起業していた福岡のゲームソフト会社でプログラマーとしてキャリアをスタート。1998年に独立。ゲーム開発会社「レベルファイブ」を創業すると、製作プロデュース、原作・ゲームデザインと3役をこなした自社タイトル『ダーククラウド』を2000年にヒットさせた。

それ以降、ゲームの企画、シナリオ、プロデュースを通じて、レベルファイブが開発するゲームの世界観を構築していたが、同社にとって大きな転機となったのが2006年のパブリッシャー事業参入である。自社で開発したゲーム『レイトン教授と不思議な町』を翌年にヒットさせ、その後、現在までシリーズ化が続くばかりか、冒頭でも述べたようにアニメ化まで展開している。

『イナズマイレブン』が最初だった

しかし、日野氏が大きくその手腕を異種メデイアへの展開でも発揮しはじめたのは、ゲーム発売、アニメ放映、コミック化をタイミングを合わせた2008年の『イナズマイレブン』が最初だった。

「制作体制は委員会方式で、ステークホルダーがおカネを出し合って作ります。各ジャンルに展開する商品やサービスは、それぞれのリスクで展開しますが、私は総合プロデューサーとして、すべてのジャンルにかかわり品質管理をしています。

まず原作者として、数十ページにわたる原作を作り、そこに背景やコンセプトを乗せていくことで、ひとつの世界観を作る。ジャンルごとの商品開発の細かなところまでかかわり、原作が持つコンセプトや世界観に添ったものなのか、矛盾が起きないかなど、自分の責任において品質管理をしています」

レイトン教授シリーズでコンテンツクリエーターとしての評価を上げ、日野氏とレベルファイブの制作力がゲーム世界だけにとどまらないことがイナズマイレブンで証明されると、『ダンボール戦機』『妖怪ウォッチ』では玩具メーカーとコラボレーションすることで、“ひとつのゲーム世界”を出発点とし、さらに大きな経済圏を作ることに成功している。

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