レベルファイブの真似できない「凄さの秘訣」 日野社長が語る「妖怪ウォッチ」成功の理由

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スマホアプリ『妖怪ウォッチ ワールド』の画面(写真:©GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved. ©LEVEL-5 Inc.)

「私たちの作品を楽しんでくれているのは、主に小中学生たちです。一方でスマホ向けゲーム市場の中心にいるのは大人たち。具体的にはスマートフォンでのアプリ内課金を、自分の裁量でできる人たちです。

そうした意味では、新しい挑戦という面もありますが、すでに成功事例もいくつか作っていますし、ガンホー・オンライン・エンターテイメントと共同開発した『妖怪ウォッチ ワールド』など、スマートフォン向けアプリを得意とするパートナーとの提携例もあります。自分たちは無理に上位を狙っていくというよりも、自分たちができることを、各ステージごとにしっかり取り組んでいきます。その結果、品質を上げてヒットしているアプリも多くあります」(日野社長)

子どもたちにもネット配信は広がっていく

レベルファイブの“クロスメディア”展開は、夕方の放送枠を確保したアニメ放送との連動が主だ。しかし、今後という意味ではスマートフォンやタブレット、あるいはテレビ向けも含め、映像配信サービスの利用が、小中学生向けでも広がっていく可能性が高い。放送時間枠にとらわれないネット配信の特徴は、大人向けだけでなく子ども向けコンテンツでも歓迎されると考えられる。

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「子どもたちがテレビではなく、ネットを通じて映像を楽しむ世界は、もう目の前に来ていると思います。しかし現実には、まだテレビのほうがいい面もある。私たちとしては、現実にそういう状況になってきた段階で、テレビ放送枠なのか、ネット配信なのか、あるいはその両方なのかと、その時々で判断をしていくことになります。音楽の世界では、オンデマンドで曲を楽しむのが当たり前のことになっていますが、映像作品も遠くないうちにそうなるでしょう」(日野社長)

もっとも、当面はテレビ放送を軸にした枠組みを維持する。放送枠に対しては、各局が見逃し視聴サービスをネットで提供しているからだ。ネット配信については、同一シリーズの旧作や関連作品を映像配信サービスで視聴可能にすることで、新作をプロモートするといった現在のやり方が、まだ当面は主流になるととらえているようだ。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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