「消しゴム」はどうやって字を消しているのか 意外と知らない、文房具の「すごい技術」
鉛筆の芯の濃さと硬さはBとHからなる「硬度記号」で表される。Bは「Black」、Hは「Hard」の頭文字で、Bにつけられた数が大きいほど軟らかく、Hにつけられた数が大きいほど硬い。
鉛筆の硬さは黒鉛と粘土の割合によって決まる。たとえば、HBでは黒鉛70%に対して、粘土30%。Bの数が多いほど黒鉛が多く含まれることになる。ちなみに、HとHBの中間にFがある。Fは「Firm」(ひきしまった)の頭文字だ。
複写式領収書などで大活躍!ノーカーボン紙
鉛筆やボールペンなど、ペンで書かれた文字を複写するための「ノーカーボン紙」は、生活のさまざまなシーンで利用されている。銀行の振込用紙や宅配便の伝票ほか、いわゆる「控え」が必要な場面で活躍しているのはご存じだろう。
この「ノーカーボン紙」の一方では、当然「カーボン紙」もある。たとえば宅配便の伝票で、自分用の控えにこれが利用されている。1面の裏にカーボン(炭の粉)を塗り、筆圧で2面の紙に印字する方式だ。このしくみからわかるように、これは安価だが、触ると手が汚れる場合が多い。
つまり、カーボン紙で手が汚れる問題を解消する製品こそノーカーボン紙だったのだが、1953年に米国で発明されたこの製品、そもそもどのようなしくみなのだろう。
ノーカーボン紙にはミクロン単位の大きさの「マイクロカプセル」が利用されている。ペンの筆圧が加えられると、1面の裏面に塗布してあるカプセルが壊れ、中に入っている無色の「発色剤」が染み出す。すると、2面表に塗ってある「顕色剤」と化学反応し、色が現れる。これが、控えの紙の文字になるのだ。