「消しゴム」はどうやって字を消しているのか

意外と知らない、文房具の「すごい技術」

黒鉛は炭素からできているが、同じ炭素からできているものに、ダイヤモンドがある。しかし、これらが似ても似つかないのはご存じのとおりだ。このように、同一の元素からできているのに性質がまったく異なるものを「同素体(どうそたい)」と呼ぶ。

ナノの世界で見ると、黒鉛はすべりやすい炭素の層構造をしている。このすべりやすさが大切で、筆圧で層が簡単にはがれ落ち、黒い粉となる。これが、字やイラストの線になるのだ。

黒鉛とダイヤモンドは成分元素が同じ(イラスト:小林哲也)

紙に書けて鉄やガラスに書けない理由

では、紙に書けて鉄やガラスに書けないのはなぜだろうか。この理由は先に述べた「黒鉛の性質」にある。炭素の層が筆圧ではがれ落ちるには「引っかかり」がなければならないからだ。

鉄やガラスの表面は、硬くスベスベしているため黒鉛の層が引っかからない。一方、紙は植物繊維でできているので、表面はザラザラしている。この凹凸に黒鉛が引っかかり、黒い粉が繊維内部に入り込む。これが、紙に鉛筆で字が書ける秘密だ。当たり前と思っていることに、こんなミクロの世界の理由があるのだ。

鉛筆で紙に字が書けるしくみ(イラスト:小林哲也)
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