介護現場が2025年までに直面する重大な課題 人材育成を呼びかける若き経営者の危機感
堀:イベントでの食事にもこだわっていらっしゃいますよね。
秋本:介護の現場で2年間アルバイトをしている時に、モヤモヤしたまま終わってしまって。というのも、だんだんかむ力や飲み込む力が衰えて「ミキサー食」を食べているのを見た時に、顔から食べたくないのが伝わってきながらも与えないといけないという現状がありました。そこでは状況を変えられなかったのですが、介護の現場を離れた後、飲み込む力がなくても食べやすくておいしくて見た目も良い食事があるということを知りました。食事の時間をすごく楽しみにしていらっしゃる利用者さんが多いので、食事の大切さは忘れたくないと思い、イベントのケータリングもお腹を満たすだけのものではなくて、香りや見た目、食べたいという気持ちなど、五感で楽しめるようにしています。
堀:具体的に、これまでどのようなテーマでイベントを開催してこられたのですか?
介護のあり方もどんどん変わっていこうとしている
秋本:たとえば、お腹に当てたら「あと何分で排泄するよ」と排泄を予測してくれるデバイス「D Free」(参考:D Free)があるのですが、そうしたテクノロジーの進化によって、今まではお声かけするなど尊厳を完全には確保できないような状況でのかかわりしかできなかったのが、私たちの介護のあり方もどんどん変わっていこうとしているというような、最先端な兆しについて取り上げたこともありました(参考:HEISEI KAIGO LEADERS ACTIVITIES)。
また、介護は入浴や排泄など「高齢者のお世話をする」というイメージが強いと思うのですが、ある事業所では地域の中でおじいちゃんおばあちゃんが活躍できるような環境をどうつくっていくかということにチャレンジし、それを仕事に変えているケースもあります。たとえば、洗車をやるデイサービスがあったり、公園のお掃除などを市から委託を受けてやっていたり。認知症があってもなくても誰でも活躍できる環境をつくろうという取り組みをされている事業者さんが事例をお話しくださったこともありました(参考:HEISEI KAIGO LEADERS ACTIVITIES)。さらに、介護の現場では下は高校生から上は60代、70代の方、また最近は外国人の方とも働くという環境が当たり前になってきている中で、多様な人たちとどう良いチームを築いていくのかということをサイボウズ・青野慶久社長の視点から学んだこともありました。