出口治明「歴史はタテとヨコで見ると面白い」 子どもに影響を与える「本を読む姿勢」
大人がまず本を読む姿勢を見せる
10代の人の親御さんや身内の方から、「子どもが本を読まない」という嘆きの声をよく聞きます。「どうしたら本を読むようになるでしょうか?」と。
僕がそう問われたときに答えているのは、「まずあなたが本を読んでいるのですか?」ということです。人間はロールモデルを見て育つ存在で、特に子どもや若者はそうです。周囲の大人の真似をします。だから、まず大人が本を読んでいるところを見せるべきなのです。
どんな本でもいいので、なにか難しそうな本を読んでいる姿を見せて、その本を読みながらゲラゲラ笑えばいいのです。内容はわかっていなくても構いません。そういう、大人の責任として子どもたちが本を読むための「仕掛け・仕組み」が必要で、それをせずに、「子ども・若者の本離れ」を嘆いたりしても仕方がないと思います。「なんかしらんけど、本を読むって楽しそうやな」と思わせることが大事なのです。
それから、お子さんとできれば一緒に、地元の図書館に行って、司書の方に相談してみてください。その子の興味を持ちそうな本を、貸し出しの冊数制限いっぱいまで借りてきて、それを家の中で、子どもの動線上のあちこちに置いておくのです。そうすれば、自然に興味がわいて、「ちょっと読んでみようか」となるのです。大事なのはそこで「こんな本を読ませたら役に立つかも」とか「立派な教訓が書かれている本を読ませよう」などと思わないことです。
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