出口治明「歴史はタテとヨコで見ると面白い」 子どもに影響を与える「本を読む姿勢」

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本の値打ちは面白いか・面白くないかなのです。本は「面白いかどうか」がすべてで、ジャンル分けや、何冊読むかだけでなにかを得た気になるようなことは考えるべきではありません。また、「内容を覚えるかどうか」「(特定のジャンルを)読めない」などもいっさい気にせずに、そのときどきで読みたいものを読むのがいちばんいいのです。

考えてみればそれは大人にも言えることで、はじめは子どものために本を読む“ふり”だったとしても、人はそうそう面白くもないものを見てゲラゲラ笑うことを続けられないので、おのずと関心があるものを手に取ることになるでしょう。

本は図抜けて“コスパ”がいい

僕は、つねづね人間が賢くなるには「人(との出会い)、本(を読むこと)、旅(をすること)」の3つしかないと、言い続けています。旅は「旅行をする」ことだけではなく、体験する、経験することすべてを「旅」と定義しています。

僕自身は、その「人、本、旅」のなかで、「本」からできている部分がいちばん多いのではないかと思っています。本が半分、人と旅が残りの5割の半分ずつでしょうか。

それにはいくつか理由があって、まず本は、相性や好き嫌いの入る人間よりも「選ぶ」ことが容易です。そして本はぶっちぎって「効率」がいいのです。持ち歩けますし、いつでもどこででも読むことができます。人と会うにはアポイントが必要です。旅はおカネがかかります。しかし本は、時間や都合を自分で決められますし、おカネもかかりません。

先日ある集まりでさまざまな本について語りました。その参加者から「何冊もネットショップで買ってしまって、1万円を超えてしまいました」と言われましたが、1万円でできる旅を考えたら、本は時代も場所も超えられるわけですから、とても効率がいい学びの手段なのです。

そのなかでも、「古典」を読むことが、思考力を高めるためにはいちばんいいと思うのです。古典は「残り続けていること、語り継がれてきていることそのもの」に価値があります。また、同じ作品を好きだったり知っている人とは、国境を越えて仲良くできます。人と人とのコミュニケーションは「共通するテキストの数」で決まるといってもいいでしょう。

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