グリーン氏は「吉利集団(ジーリー)はボルボに対して、研究開発における独自性と、われわれに対する信頼を与えてくれた。そのうえで、われわれはすべてを変える決断をした。その成果が直列4気筒エンジン、プラグインハイブリッド、そして共通車体であるスケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー(SPA)の実現につながり、今日こうして最新工場のお披露目につながっている」。現在のボルボは2010年以前とはまったく違う新生ボルボであることを強調した格好となる。
また、2010年以前は研究開発を含めた社内はスウェーデン人がほとんどだったが、2010年以降はドイツ、英国、そしてアメリカの出身者が一気に増え、名実ともに国際化したという。
電動化の流れ
次に、電動化について聞いた。ボルボは「2019年以降に全モデルを電動化する」と公言している。一部報道では、電動化をEV(電気自動車)化と伝えているが、正確には「電動技術を用いたクルマ」である。
この点について、サミュエルソンCEOは記者団との意見交換の場で「プラグインハイブリッド車を全モデルに設定することを意味し、ガソリンエンジン搭載車の生産も当面続ける。ただし、ディーゼルエンジンは現行車のみで、モデルチェンジを機に完全に撤退する」と明言した。
また、研究開発担当のグリーン氏に対して、筆者は電動化のプロセスについて聞いた。中国の新エネルギー車(NEV)施策、米カリフォルニア州のゼロエミッションヴィークル規制法(ZEV法)、欧州のCO2規制、さらに今年4月に米環境局長官が大幅改定を宣言したメーカー別平均燃費(CAFE)など世界各地の規制に対して、どのようなバランスをとって開発を進めるのかと尋ねた。
グリーン氏は「われわれの電動化開発は、けっして規制重視ではない。あくまでも、消費者が購入を望む商品を主眼に開発する」と、商品性重視の姿勢を示した。なお、電動化における基盤技術となるリチウムイオン電池の購入については「生産国での現地調達を基本としており、アメリカでも同様の考えだ」と購買の考え方を明らかにした。
筆者は昨年9月、スウェーデン・ヨーテボリのボルボ本社を訪問し、各部門関係者と意見交換した。そして今回、ボルボ初となるアメリカ拠点の取材を加味すると、新型「S60」は、ボルボが第2成長期に入ったことの証しであるように思った。
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