「食の危機」、作り手と消費者を結ぶ男の思い 政治家から事業家へ転身した背景にあるもの

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そのときに、こんなに大変な仕事をして、自分たちの代わりに食べ物を作っていたんだということを消費者が知ったことで、結果として生産物の価値が上がっていったんですよね。それを見たときに、これは震災時だけではなく日常からやらなきゃダメだと。

元々、震災があろうがなかろうが、生産現場は高齢化、過疎化して、若い人がメシを食えないと都会へ出ていっていたので、これはヒントだなと思いました。日常でも展開しようということで、食べ物の裏の物語と食材をセットでお届けする、食べ物つき情報誌のサービスを始めました。

生産者の“生き様”を伝えたい

――“食”をつけたということにびっくりしました。

びっくりでしょ? 今までなかったんです。いまどき女性誌なら付録にバッグとか付いているじゃないですか。僕らは食材が付録だったんですけど、普通、野菜の宅配は段ボールに野菜がギッシリ詰まっていて、そこに紙1枚で生産者の情報が入っているんです。

それをひっくり返して、この紙1枚がメーン――つまり、生産者の生き様だったり世界観だったり哲学などがメーンで、あえて付録として食材をつけました。被災地で都市住民が体験したことを、都会のマンションの食卓でも疑似体験してもらいたいなと思って。

――読んで食べると、やっぱり違いますよね。

全然違いますね。

――それはどうやって思いついたんですか?

結局、現場に来てくれるのが一番なんですが、やっぱり風化しちゃったんですよね。皆さん忙しいので、なかなか現場に来ていただけなくなってきた。だったら、現場を都会のマンションに送ってやれと思って。

食べ物の裏側を見た都市住民が変わっていったので、それを物語にして食材とセットにしました。

――斬新ですが、やっぱり食は生きる基本だというところが大きいんですね。

そうですね。人間は食べないと生きていけないので、生きる「1丁目1番地」だと思っていますね。

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