「ジャパンオイスター」がアジアを席巻する日 香港の富裕層が「被災地」三陸のカキを絶賛

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「東北・三陸沖のカキ」から、世界市場を狙った「ジャパンオイスター」へ。被災地の豊かな海で育った日本最高峰のカキをブランド化し、アジアの富裕層へ売り込む(写真:立花貴氏提供、以下同)

東日本大震災から6年が経過しようとしている。「7年目の春」に向かうとき、ようやく見えてきたものがある。それは「明日の日本が映っている鏡」だということだ。暗い未来ばかりではない。大震災をものともせず、宮城県石巻の雄勝から最高のカキで世界へ打って出ようとしている人々がいる。「東北のカキ」が「世界のジャパンオイスター」になる日はもうすぐだ。

人口減少が加速化した被災地だからこそ、見えたこと

日本の総人口は、2050年までに1億人を切るという。人口減少は日本中で静かに進んでいるが、2011年に起きた東日本大震災で、被災地の人口減少は加速化した。

「東北地方だけではありませんが、人口流出は震災前から起こっていました。いま被災地で起きている問題が大震災由来、とだけとらえてはいけないのです。これから日本全体で起きる問題は、被災地では震災で前倒しされて起きている、と考えるべきです」

そう話すのは『ひとりの力を信じよう ――「今あるもの」で人と地域の未来をつくる』(英治出版)を上梓した立花貴さんだ。仙台市出身の立花さんは、東北大学法学部卒業後、伊藤忠商事に入社。その後、食品流通の分野で商社での経験を生かし、起業した。10年間社長を務め退任後に、いきなり東日本大震災が襲ったのである。

「そのとき私は東京で地下鉄に乗っていました。混乱の中で震源地が宮城県沖ということがわかり、津波により広範囲に甚大な被害が生じている、と知りました。とにかく、宮城県に住む母と妹の安否を確認したかった」

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