「ジャパンオイスター」がアジアを席巻する日 香港の富裕層が「被災地」三陸のカキを絶賛

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東北の浜で育った天然岩ガキ。そのカキから採苗したシングルシードの岩ガキが「himeco」だ。以前は複数のカキの幼生をホタテ貝などに付着させていたが、最初から一粒ずつ付着させる方式を採用した。これがシングルシードと呼ばれる養殖方法である。

シングルシードは、手間はかかるものの、一つひとつの大きさや形を工夫できる。その中でもカップ状の一口サイズの岩カキをhimecoとして、これを、これを、海外輸出専用として生育しているのである。小ぶりなうえに放卵していないので、雑味がなくクリーミー。しかも、濃厚な味わいとなっている。一口で食することができ、ワインとの相性は抜群だ。

香港で行われた試食会。「今までに食べたことがない味」と評判になった

「昨年8月、香港でお披露目のイベントを行いました。香港人はグルメも多いし、香港にはヨーロッパ系の企業も多い。そこで試食会をしたのですが、『ヨーロッパなどでは味わえない、食べたことのないクリーミーな味』と評判になりました」

雄勝からの世界への挑戦はまだ始まったばかりだが、時間をかけて日本のカキのブランド化にも貢献していきたいという。もちろん、課題は少なくない。代表的なのは輸送コストの問題だが、これは国内でも同じだ。高級ブランドとして確立できれば乗り越えられるという。またカキだけでなく、三陸地域を中心として水揚げされる最高の水産物を商品ラインナップに加えることも視野に入れている。

「もう、マーケットを日本だけと限定する必要はありません。三陸は世界3大漁場のひとつです。高品質な海産物はたくさんあるんです。確かに三陸の名前は、今のところ世界でも知る人は少ない。でも、それを逆手に取って、世界に打って出ることが三陸のブランド化や三陸の新しい漁業、持続可能な漁業にもつながると思っています」

子供も大人も、雄勝で「持続可能な社会」を学ぶ

その立花さんが、関わっているもうひとつの団体(公益社団法人MORIUMIUS)の大きなプロジェクトがある。

雄勝では、まちを歩いていてもほとんど人に会うことはない。だが、子供たちの明るい声が聞こえてくる場所がある。それがMORIUMIUS(モリウミアス)という施設だ。高台で津波の被害を免れた築93年の廃校を、2年半の歳月をかけて、延べ5000人以上のボランティアや地域住民が改修。廃校は、子供たちの複合体験施設として、2015年夏に生まれ変わった。それがモリウミアスである。

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