中途半端すぎるNISA、悲劇的に低い若者の投資意欲
渋澤 まあ、タレントを使ったことでNISAという言葉そのものが浸透したともいえるかもしれないけど。
中野 制度そのものも、欠陥だらけじゃないですか。
渋澤 中途半端な感じですね。2014年1月から制度がスタートするから、「2020年へ向けてのオリンピック相場」を狙う投資家にとっては、値上がり益が非課税になるのが大いに魅力的ではあるけど、「株をやっている」彼らにとっては、何しろ年間100万円で総額500万円までという縛りは、いささか金額的には小さい。一方、少額資金でも自分の老後生活に備えるためにコツコツ積み立てていきたいという現役世代にとっては、5年間という有期限があきらかに短すぎます。
中野 キャッシュバックを行っている金融機関もありますけど、そもそもキャッシュバック狙いでNISAの口座を開く金融機関を選ぶのも、おかしな話ですよね。
渋澤 「預金から投資へ」という流れを作るうえで、NISAという制度を有効活用する必要があると思うけど、結局のところ大半は、既存顧客の囲い込みにすぎないのが現状ですね。350万口座とは言うけれども、問われるのはその中身です。
藤野 長期的な資産形成という点では、やはり若い人たちの投資に対する関心を高めたいところですが、今、若い世代の投資に対する興味って、悲劇的なまでに低下しているんですよ。東京証券取引所の調査によると、20代の株式投資経験者は、2006年は約5%だったのが、2012年は2.94%。同じく30代で見ると、2006年は19.4%だったのが、2012年は13.4%。どうです?
中野 そういう意味では、NISAで税金が有利になりますよというレベルの話ではなく、もっと根本的に投資の意義を伝えていかなければなりませんね。
藤野 投資は悪、リスクを取ることも悪というイメージが、この国では強いじゃないですか。でも、投資家は自ら進んでリスクをテイクして、経済成長に必要なリスクマネーを供給しているわけですから、本来はもっと尊敬される立場であるはずです。NISAを扱う証券会社、銀行は、そういうメッセージをしっかり伝えていく必要があります。
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