渋澤 う~ん、というよりも、今までのお金持ちの行動、つまり、おカネの使い方が、社会へのロールモデルになっていなかったのではないのかな。
中野 NISAの本質的な趣旨は、いいことなんだと思います。でも、やはり細かい制約をなくしていく必要はあると思いますね。たとえば5年という非課税期間の恒久化もそうですし、現状、2023年までとされている口座開設可能期間の恒久化も必要でしょう。業界を挙げて、きちっとした商品をまっとうに販売すれば、NISAはいい制度に育つと思います。
富を次世代に移転させる制度を、もう一度考え直そう
藤野 そう言えば今度、実験的な試みをします。長野証券で「ひふみ投信」を販売してもらうんですけど、対面販売の証券会社でありながら、ここではノーロードで扱います。
渋澤・中野 お~、それはなかなか。
藤野 本当に実験的な試みなのですが、長野証券もひとつのファンドを大事に育てていきたいという意向を持っているので、対面でありながらノーロードという販売スタイルが実現したのですが、販売金融機関の中にも、そういうところが少しずつ増えていくと、いいのですけれどもね。
中野 僕は制度の恒久化こそがNISAにとっていちばん必要なことだと思うのですが、皆さんはどうですか。
渋澤 それに加えて、1口座1金融機関という縛りも撤廃してもらいたいですね。
藤野 そう。独立系投資信託会社でいえば、セゾン投信とコモンズ投信、そしてレオス・キャピタル・ワークスは、それぞれ運用哲学も違うわけですから、たとえば3社で同時に積み立てていけるというようになれば、なおいいですね。
中野 あと、子供NISAなんかもいいのでは?
渋澤 それは、絶対に必要です。日本社会が蓄えている富を世代間に移転させる制度は、日本の未来への持続性に不可欠です。今は、借金のツケしか残していませんからね。たとえば、子どもや孫の教育費のために親や祖父母が長年かけて積み立てる金額も、それぞれ毎年100万円の非課税枠を設けるべきです。
前政権のときに、政府へ提言を働きかけた構想でしたが、政権が変わって、結果的に孫への教育費を1500万円まで非課税にするという、まさに、お金持ち優遇へデフォルメしてしまいましたが。
中野 自分の教育資金が、おじいさんがきちっとした投資信託で運用されているということを知ったら、その孫だって投資に興味が湧くじゃないですか。そういう子供が増えていけば、「30年で1億円」などという広告を真に受けたりしなくなると思います。
渋澤・藤野 ナットク。
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