犬を売らないペット店が岡山で人気の事情 殺処分されてしまう元凶は命の売買にある?

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ペット用品の品揃えは豊富だった(筆者撮影)

そうは言っても、民間企業だ。利益を生み出さないビジネスはありえない。どうなっているのだろうか。

そのヒントは店舗にあった。

シュシュの売り上げの4割はペット用品の販売による。店内の品揃えは豊富だ。

さらにトリミング事業が3割を稼ぎだす。残りの3割はグッズの通信販売だ。

かつてはペット売り場のテナント収入もあった。現在、直接の利益貢献にはならない里親探しの活動・飼育にスタッフ1名を配置しており、むしろコストはかかるようになっている。

だが、「売り上げも利益もペットの販売をやめてから毎年伸びています」(澤木氏)というように、ペットを売らないペットショップとして話題になり、それを支持するペット愛好家たちが来店したり通信販売で関連商品を買ってくれるのだという。「この里親探しのコーナーがお客さんとお店とを結びつける接着剤の役割をしています」(澤木氏)

里親探しの輪は全国に広がるか

2015年秋にグロップは千葉県市川市で動物病院、ペットショップを経営する企業を傘下に収めた。「ジャングル」という名称のペットショップ事業を引き継ぎ、「アニマルライフ」というペット販売はせず里親探しをするお店に転換した。

店内にいた犬は保健所にいた頃よりも表情は明るくなったと言うがどこか寂しげ。飼い主が決まり新しい暮らしが始まると笑顔を多く見せるという(筆者撮影)

命をモノのように店頭に陳列し、購入を促す現在のスタイルに消費者は少しずつだが疑問を持ち始めているのだろう。シュシュの売り上げが伸びているのも、そうした現状を問題提起する同社の姿に消費者が共感し、支持しているからだと感じた。

シュシュの取り組みがより広く認知され、それがビジネスとして成り立ち、ペットと新しい家族との出会いが「命の売買」ではなくなる日がいつかは来ることを願う。

細川 幸一 日本女子大学名誉教授

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ほそかわ こういち / Koichi Hosokawa

専門は消費者政策、企業の社会的責任(CSR)。一橋大学博士(法学)。内閣府消費者委員会委員、埼玉県消費生活審議会会長代行、東京都消費生活対策審議会委員等を歴任。著書に『新版 大学生が知っておきたい 消費生活と法律』、『第2版 大学生が知っておきたい生活のなかの法律』(いずれも慶應義塾大学出版会)等がある。2021年に消費者保護活動の功績により内閣総理大臣表彰。歌舞伎を中心に観劇歴40年。自ら長唄三味線、沖縄三線をたしなむ。

 

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