「大迫半端ない」を導いた西野監督の調整力 ベテラン・中堅・若手がそれぞれ役目を果たす
長友のみならず、後半途中に出てきて2点目をお膳立てした本田圭佑(パチューカ/メキシコ)、前がかりで攻めに来た相手の迫力を止めるべく送り出された岡崎慎司(レスター/イングランド)もクローザーとしていい働きを見せた。先発落ちは強いられたものの、2人が自分の持ち味を出し切って勝利に貢献したことも、「サランスクの奇跡」の一因だったと言える。
こういった30代に刺激を受けたのが、2度目のワールドカップでリベンジを期していた大迫、香川、吉田らだ。大迫は前回大会では初戦・コートジボワール戦(レシフェ)とギリシャ戦(ナタル)に連続先発しながらロクにシュートさえも打たせてもらえなかった。香川にしてもエースナンバー10を背負いながらギリシャ戦で先発落ちの屈辱を味わい、吉田もコートジボワールのディディエ・ドログバ(フェニックス・ライジング/アメリカ)らの圧倒的な存在感の前になす術を見出せなかった。
半端ない活躍を見せた大迫はドイツでレベルアップ
「僕の中では前回の経験が生きたかなと。ワールドカップはすべてがうまくいく大会ではないし、ホントに悪い時もある。その中でどれだけ自分たちが歯を食いしばって頑張るかだと思う」と言う大迫は悔しさをバネに4年間ドイツでハイレベルの経験を積み重ねてきた。それは香川や吉田も一緒。香川はケガやスランプに陥るたびに「ロシアを考えると今、苦しんでいるくらいがちょうどいい」と自らに言い聞かせ、ここまでやってきた。「自分がピッチで見せるしかないと思っていた」と一時は落選危機さえ囁かれた背番号10は、この日のアグレッシブで勇敢だった一挙手一投足に胸を張った。
先輩たちが奮闘するのなら、若い世代も負けてはいられない。世界舞台初参戦の昌子、柴崎、原口らは凄まじいエネルギーで敵に向かっていった。昌子は「ファルカオキラー」として体を張り、堂々たるディフェンスを見せていたし、柴崎も攻守両面でパートナーの長谷部以上の輝きを放った。少し前までは球際や寄せの甘さが課題と言われたが、この日は危ない場面で相手からボールを奪い取る仕事も連発。逞しくなったところをしっかりと示した。
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