「大迫半端ない」を導いた西野監督の調整力

ベテラン・中堅・若手がそれぞれ役目を果たす

こうしてサランスクで歴史的勝利を挙げることに成功した西野監督。格上撃破という意味で、1996年アトランタ五輪でブラジルを破った「マイアミの奇跡」になぞらえるメディアもいた。勝利の要因はいくつかあるが、絶妙なチームバランスに支えられた部分は大きかったのではないだろうか。

コロンビア戦のスタメンを見ると、2010年南アフリカ、2014年ブラジルの両ワールドカップを経験している川島永嗣(メス/フランス)、長友佑都(ガラタサライ/トルコ)、長谷部、4年前を知る酒井宏樹(マルセイユ/フランス)、香川、大迫、今回が初ワールドカップの昌子源(鹿島アントラーズ)、柴崎岳(ヘタフェ/スペイン)、原口元気(ハノーファー/ドイツ)、乾貴士(ベティス/スペイン)という3つのグループの選手がいた。そのそれぞれが役割をキッチリ果たし、最高の結束とハーモニーを作ったのである。

「おっさん連中」は意地でも頑張らないといけない

まず3度目組のベテラン勢には「年齢層が高くてもやれるところを証明しなければならない」という意地があった。とりわけ意識が強かったのは長友だ。「大会前にあれだけ『おっさん』と言われて叩かれたんだから、『おっさん連中』は意地でも頑張らないといけない。若手で外れた選手もいたし、拓磨(浅野=シュツットガルト/ドイツ)もそう。夢を持った少年たちもテレビの前で見ていたと思う。だから経験あるおっさんの選手が力を見せなければいけないと思っていた」と本人は改めて語気を強めていた。

その思いを前面に押し出したのが、宿敵であるファン・クアドラード(ユベントス/イタリア)とのマッチアップ。前回大会最終戦でコロンビアと戦った際、長友は好敵手にいいように崩されて涙を流した。

「試合後にコロンビアの選手たちに慰められた。あの光景は悔しさでいっぱいだった」と彼は述懐する。だからこそ、今回は同じ轍を踏んではいけない。前半18分に体を張って相手を止めたシーンに日本と彼自身の意地とプライドが凝縮されていた。

「彼の得意な1対1の勝負を仕掛けてきた瞬間、『来たな、止めてやる』と思ったので、ガッツポーズが本能的に出ちゃいましたね」長友は満面の笑みを浮かべた。結局、クアドラードは前半のうちに交代。今回はおっさん左サイドバックの圧勝に終わった。

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