「もう1つのW杯」に挑む、諸江剣語31歳の挑戦 プロサッカー選手の夢を諦めた男が目指す先
Fリーグには、アジア最強クラブの呼び声が高い名古屋オーシャンズをはじめ、フットサル環境が整ったクラブがいくつかある。
その環境を求めて、ブラジルやスペインなど、フットサル強豪国の代表クラスの選手が、毎年日本にやってくる。
海外に出て行かなくても、彼らを基準にプレーしていれば、世界と戦う道を切り開くことができる時代だ。
諸江が所属するフウガドールすみだは、2014年にFリーグに昇格したが、そこで諸江が屈強な外国人と対峙するたびに痛感したのは、圧倒的なフィジカルの差だった。自分に足りないものを求めてたどり着いた結論が、肉体改造だった。
前述の岡部氏は、諸江のことをこう語る。
「剣語のどこがすごいかっていうと、まず、お尻がデカイから、とにかく横に早いんですよ。普通、横に無茶な体勢を取らせたら、次が動けないんですけど、剣語の場合は、そこでもう一回立て直して粘り強く守ることができるんです。かつ、腕力がメチャクチャ強いので、腕に当たっちゃうと引っかかって動けなくなってボールを奪われてしまう。機動力もあるうえに、大きい相手にも対応できるスーパーなディフェンダーですね。しかも、謙虚だし言い訳もしない。人間性もすばらしい最強のディフェンダーだと思います」
肉体改造が諸江にもたらしたこと
また、昔、ラグビー選手だった父の諸江孝さんは、そのガッチリした上半身を揺らしながら、わが息子のフィジカル的な成長をうれしそうにこう語る。
「昔のあいつは身体の大きな相手にぶつかると、すぐに倒れていた。“スピードが落ちるから筋肉はいらない”とか言って、俺の言うことなんか聞かんかった(笑)。でも、最近はやっと身体が大きくなってきて、デカい選手を相手にしても倒れなくなってきたけんね」
後日、このことを諸江本人に伝えると、照れくさそうに答えた。
「確かに、以前から親父には“筋トレなんて必要ない”って言っていましたね(笑)。変な意地みたいなのがあったんでしょうね。
でも、いま任されているポジションは、身体の大きな選手を相手にしたときに、どうしても一定の強さが必要なポジション。自分の攻撃的な特徴は残しつつも、チームに安定感を与えるような選手になるために、そして外国人たちと戦っていくためにも、肉体改造は必要なことでした」
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