noteの「中の人」が明かす知られざる裏側 UI/UXデザイナーが施した改善と成果

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複数の会社・クリエイターで構成されたITとデザインのチーム「THE GUILD」代表でUI/UXデザイナーの深津貴之さん(写真:news Hack by Yahoo!ニュース)
文章や写真、音声、映像などを投稿できるメディア・プラットフォーム「note」。ブログとしての機能にSNS的な要素を備え、クリエイターと読者をつなぐ新たな仕組みとして、今日では一般ユーザーのみならず著名な書き手も利用しています。
その運営元の株式会社ピースオブケイクに2017年秋、UXデザイナーの深津貴之さんがCXO(Chief Experience Officer)としてジョインしたことが話題になりました。さまざまなUXの改善実績を持つ深津さんの参画で、noteはどう変わっていくのか? 深津さんに、今この時代だからこそメディアに求められているものを伺いました。

noteは「出版」に近いルーツを持っている

――株式会社ピースオブケイクのCXOに就任して約半年になりますが、もともとnoteというツールにはどのような印象をお持ちでしたか?

本記事はnews HACK by Yahoo!ニュース(運営:ヤフー)の提供記事です

僕自身の活動は、ブログから始まっています。その背景からブログコミュニティーの再設計やデザインには以前から関心を寄せており、noteに関しても興味深く見ていました。他のブログと比べて、濃い作品が生まれる場になっていますよね。これはおそらくルーツの違いによるものでしょう。例えば、アメブロやLINEブログの場合は、初期から著名人に浸透させる戦略でユーザーを増やしてきた経緯があります。

しかし、ピースオブケイクはもともと、2012年から作家やエッセイストのコンテンツを掲載するプラットフォーム「cakes」の運営を行ってきた会社で、どちらかというと出版業界に近いルーツを持っています。

そのためnoteには、作家をプロデュースする、作家にとって使いやすいツールを提供するという意識が、当初から根付いていたように感じられます。

――CXOに就任されてからこれまで、noteには具体的にどのような改善が加えられたのでしょうか。

基本的な施策については、そのつどnoteへの投稿で報告している通りです。記事を発見しやすくするために検索機能を強化したり、エディターの精度を向上させたり、公開前のプレビューを共有できるようにしたり……。ユーザーが書いたnoteを1000記事以上読み、ユーザーの声を聞きながら改善を行いました。

何か画期的な新機能を追加するというより、コツコツと細かな改修を続けている状況ですね。大まかに言えば、こうした取り組みを通して、ユーザー体験の向上とビジネスの健全化を矛盾なく両立させることが自分の役目だと考えています。

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