人気作家夫婦が交互連載で離婚を考えたワケ 自分の怒りの理由を相手に聞くクイズはNG!
はじめての夫婦仕事はつらかった
――夫婦の相互理解を目的に始まった連載なのに、夫婦仲が悪くなったというのは本当ですか。
円城 塔(以下、円城):はい。僕の回のエッセーが掲載された日は明らかにこの人(田辺 青蛙さん)の機嫌が悪くなっていましたね。つらい連載でした。
田辺 青蛙(以下、田辺):イラッとする局面はいろいろありました。やり取り自体は楽しかったんですけど、好きな本を勧めたのに、ほとんど感想がなくてあっさり返されるのはつらかったです。
円城:お互い、本の内容に関する意見があんまりない(笑)。
田辺:いつも本を勧め合うのは、同じジャンルの人――私でいうとホラーや怪談界隈の仲間うちが多いので、その人が今まで読んできた本はだいたいわかっていますし、どういう感想を抱くかの予想も大きくは外れない。でも円城はSFの人で、読んできた本もぜんぜん違うので、どんな感想を抱くのか予想できない。はじめての体験でした。
円城:そもそもスタンスもまるで違う。僕は、君の知らないこういう本もあるんだよと提示して、あとは自由に受け取ってもらえればいいという気分だったけど、この人は思ったより、本の「機能」や「正解」を気にするタイプ。本に書いてあることをやってみなきゃとか、実現しなきゃとか。この点、すれ違いを感じましたね。