死因4位「脳卒中」治療の深刻すぎる地域格差 住む地域によって助かる可能性に大差がある
縦割り行政の弊害も見え隠れする。
予防は厚生労働省健康局、救急搬送は総務省消防庁、医療は厚生労働省医政局、介護は厚生労働省老健局、社会福祉は厚生労働省社会・援護局と多岐にわたる。
山口医師はだからこそ、法制化が必要だと訴えてきた。
「これらの解決には、脳卒中対策に対する中央省庁の構造や考え方の抜本的な改革と、法律による規制が必要です。法律があってはじめて、関係者が同じテーブルに着き、ディスカッションを始められるのです」
脳卒中に対するリテラシーの向上が必要
脳卒中に対する啓発も不足している。
t-PA静注療法は症状を劇的に改善する可能性があるが、発症4時間半以内に開始しなければならない。限られた時間内にすべてが速やかに行われることが重要だ。血管が詰まったことで酸素や栄養が途絶えると、脳細胞は次々死んでいってしまう。このため、治療は1分1秒の争いになる。
しかし、一刻も早く治療を開始しなくてはならないことがまだまだ一般にはよく知られていないと山口医師は嘆息する。
「脳卒中が怖い病気だからと病院に来るのをためらい、前兆に気付いたにもかかわらず、気にしていない患者さんがいまだにたくさんいます」
新聞やテレビなどで積極的に脳卒中キャンペーンを行う地域と、少し行う地域、まったく行わない地域を設定して、研究が行われたことがある。それによると、積極的にキャンペーンを行う地域では、知っておくべき脳卒中の初期症状が一般市民に広く知られるようになったことが報告されている。
病気に対するリテラシーを向上させるためにも、国家レベルの啓発が必要だろう。
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